林國本
仕事で日本に長期滯在していた頃、土、日は神田の書店街やJR新橋駅の古本市をのぞくことを、息抜きの手段の1つとしていた。そして、書店や古本市で「こいつは面白そうだな」と思った本を買っては、楽しみとして読書三昧にふけっていた。
その時、私が興味を覚えた本の中に、中國の客家について書かれたものがあった。
中國の東晉太安の時代や唐の末期、宋の南方への遷都などにより、多くの漢民族の人たちが広東、福建、江西諸地域に移住した。この人たちのことをいろいろな角度から書いたものである。中國の北部から移住してきた人たちは、よそ者として冷たい目で見られ、排斥され、外來の客人としていろいろ苦労して、南方の過疎地で足場を築き、その後、臺灣や東南アジアへも移住した。おそらくこの人たちはサバイバル?ゲームの中で自分たちの生活基盤を築いたのであろう。そのため、獨立獨歩の精神やバイオニア?スピリットに富み、ユニークな発展成長の足跡を殘している。私たち林氏一族の先祖も、一応河南省の周口市あたりから南方へ流れ著いた、と伝えられている。
ところが、この客家について、日本では商才に富む人が多いという説が主流で、私が任期を終えて帰國し、友人の客家の歴史を研究している人に日本で客家についての関心を語ると、非常に興味を示すとともに、日本における獨自の切り口についてもいろいろご高説を拝聴した。