下半期の國內外の経済情勢には、多くの不確定要素が存在する。歐州債務危機の悪化、ユーロ圏の最終的な選択により、大きな変化が生じる。スペイン等もギリシャに続き同じ轍を踏む恐れがあり、10月の債務返済の圧力により、再び財政危機に陥る可能性もある。歐州経済は、通年でやや衰退すると見られる。失業問題、不動産市場の疲弊、大統領選挙による財政政策の不確定要素等が総合的に作用し、米國では大統領選挙後に「財政の崖」と呼ばれる事態が発生する可能性があり、來年の景気が低迷すると予想されている。一部地域の情勢変化等の要因が、原油等の大口商品の価格に影響する。上述した內容は、中國に景気対策の強化を迫る不確定要素である。
また、數カ月に渡る海外への資金純流出のすう勢にも注目が必要だ。第2四半期の外貨準備高が650億ドル減少し、5月だけでも約1000億元が流出した。また上半期の外國企業による直接投資が、前年同期比3%減となった。これらの狀況は、資金流出のすう勢が形成されつつあることを示している。これは元高の収束、歐米の産業復興に向けた資金回流、中國経済の成長率の鈍化、コスト増等の要因が総合的に作用した結果である。資金流出については、金融政策により適時調整し、緩和を推進する必要がある。金融緩和が推進されなければ、中國國內の資金繰りに悪影響が生じるだろう。