林國本
今回ロシアで開かれたG20の會合の前後に、習近平中國國家主席はカザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンなど中央アジア4ヵ國を公式訪問し、上海協力機構の會議にも出席した。その間、各國首脳との間で政治、経済、文化の交流をさらに高い次元に引き上げるための會談をおこなった。そして、講演の中で、シルクロード経済ベルト地帯を構築することに觸れた。習近平主席の本籍地は中國の陝西省で、古代シルクロードの起點となる西安(昔の長安)はこの省の首府。
この講演を伝え聞いて、かつてのシルクロードのイメージが浮かんできた。そして地図を広げてみると、なんとこの道は確かにローマをはじめ、西アジア、地中海沿岸各地にも通じている。古代のきびしい自然條件の中で、當時の唐から中國の絹織物、茶などがラクダの隊商によってヨーロッパに運ばれ、中國へはキュウリ、トマトや楽器などが運び込まれていた。その後、海洋文明の影響もあってシルクロードは一時期、歴史の中からフェードアウトしたのではないかと思われる狀況におかれてきた。中國の西部大開発と外交関係のさらなる発展により、アセアン諸國とのFTA(自由貿易協定)交渉の発展などでアセアン諸國との経済貿易関係にも大きな進展が見られ、今では中國の人たちも、アセアン諸國の商品を自國內で手に入れられることになった。そして西に向かっては中央アジアとの経済貿易関係も大幅に発展をとげている。
中央アジア、つまり、かつてのシルクロードの経由ところはハイグレードの道路もできており、やがては鉄道もつながることになっている。中國の新疆ウイグル自治區にはすでに対外交流の窓口やそれに対応した開発區ができている。
中央アジア諸國とのウィン?ウィンの関係がさらに強化されれば、お互いに大きなメリットを享受することになろう。すでにそのための金融機構の設立も準備されており、中國は法律関係の人材の育成にも協力することになっている。
なにしろ、砂漠や山間部の多い地域なので、技術的にも高度のものが求められようが、各國の現在の技術レベルで十分に対応できるものである。
シルクロードという古代のロマンが21世紀において再現する日が眼前に迫っている昨今であるが、今世紀のうちにそれが現実となろう。すでに天然ガス資源、農業、工業、交通などの分野での交流が行われている。中央アジア諸國では、將來の中國ビジネスの展開を想定して中國語を勉強する人が増えている。中國の近代化は、中國の外交、対外経済貿易交流の全方位的展開をもたらすことであろう。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2013年9月26日