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lbxysyl.com |19. 01. 2022 |
〈中國都市総合発展指標2020〉から見た中國都市のパフォーマンス 趙啓正、楊偉民、周其仁、邱暁華、周南、周牧之によるレビュー
3.専門家レビュー
〈中國都市総合発展指標2020〉の発表に際し、趙啓正、楊偉民、邱暁華、周其仁、周南、周牧之が中國都市のパフォーマンスについてコメントを寄せた。
趙啓正 中國人民大學新聞學院院長、中國國務院新聞弁公室元主任
〈中國都市総合発展指標2020〉の最大の特徴は、新型コロナパンデミックに焦點を當て、中國各都市への影響を多角的に分析していることである。 新型コロナウイルスのような、人類にとって空前の脅威となる疫病はそうそうあるものではなく、〈中國都市総合発展指標2020〉はこれを捉え、都市に與える影響を分析した研究成果が、未來における類似の事態への対処に、非常に貴重な価値がある。
新型コロナウイルスがパンデミックとなって迫り來る中、世界各國はいち早くワクチンや特効薬の研究開発に著手したが、それらの開発には時間を要する。中國は迅速なロックダウン措置とゼロ?コロナ政策をもってこのタイムラグを稼いだ。このやり方には各國で様々な見方があるものの、中國では伝統文化を背景に、ロックダウン、隔離、マスクへの大きな抵抗感はなかった。周牧之教授と雲河都市研究院が行ったコロナ対策に関する研究は、中國の措置を世界へ紹介し、國際的理解を得ることに一役買った。
新型コロナウイルスとの戦いにおいて、中國の都市はAI、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、ブロックチェーンなどハイテクを活用し、人の移動に伴う感染可能性を効果的に防ぐことを実現した。全國共通の「健康コード」と「旅行コード」などのアプリは、國民に受け入れられ、効果的に実施されている。しかし、各國の文化や制度は異なり、これらの有効的な方法は多くの國で受け入れられていない。
2020年、新型コロナウイルスが中國及び世界の都市の社會経済に大きな影響を與えた。中國の297都市を対象とした〈中國都市総合発展指標2020〉は、感染癥対策やコロナ禍での都市発展を評価したことで大きな意義を持つ。これは、これまでの「指標」にはない特徴であり、中國の都市行政部門や學者の注目を集めるよう期待したい。もちろん、今回の指標は、コロナパンデミックに関心を持つ海外の學者や研究機関にとっても価値が高い。
楊偉民 全國人民政治協商會議常務委員、中國共産黨中央財経領導小組弁公室元副主任
新型コロナウイルスがすべてを亂した中、雲河都市研究院が毎年行う中國都市の「健康診斷」は中斷されず、予定通り〈中國都市総合発展指標2020〉が発表された。私はこれまで、〈中國都市総合発展指標〉は中國都市の健康狀態に関する「健康診斷」であると述べてきた。「健康診斷」であるゆえ、1年に1回のチェックが必要で、何があっても止めることはできない。これは、新型コロナウイルス流行の影響を考えると、なおのことである。〈中國都市総合発展指標2020は、コロナ禍に直面した中國都市に焦點を當て、各都市の感染癥免疫力に対して、どの都市が強く、どの都市が弱いかを示している。
パンデミック発生以來、中國経済は世界の主要國の中で最も堅調に進んでいる。2020年は2.3%成長を実現、2021年では約8%の成長が見込まれる。一人當たりのGDPは2021年に12,000ドルに達すると予想されている。これは、中國政府が新型コロナウイルスの蔓延をうまく制圧した故であると同時に、中國経済の強大な回復力を示している。中國経済のレジリエンスは、フルセットの産業部門を持ち、サプライチェーンによる製造業輸出能力が高く、そして産業集積が巨大な點にある。このレジリエンスは、世界の主要國の中でも唯一無二なものである。そのため、新型コロナ感染癥が突発的に起こったときも、國內の投資や消費が伸び悩むときも、貿易を通じて安定した経済成長を維持することができた。米國政府は中國企業を制裁することはできても、米國消費者の中國製品に対する強い需要を止めることはできない。2020年、中國の貨物?サービスの純輸出の経済成長への寄與度は28%にも達した。2021年の第1から第3四半期に同寄與度は19.5%となり、リーマンショック直前の2006年の14.3%を大きく上回る。
〈中國都市総合発展指標2020〉によると、「中國都市製造業輻射力」の上位10都市と上位30都市は、それぞれ中國輸出総額の44.2%と71.7%を占め、これらの都市のレジリエンスを示している。
中國の経済発展は「新たな段階」に入り、將來を見據え、國內外の「雙循環」が互いに促進し合う新たな発展モデルを構築していくだろう。ここでは「國際大循環」と「國內大循環」のそれぞれを強調することではなく、二つの「大循環」の相乗効果に重點を置くべきである。新しい発展段階において、中國のどの都市が今後も主導的な役割を擔っていくのか、注目したい。
周其仁 北京大學國家発展研究院教授
〈中國都市総合発展指標〉は、時間の経過とともにその価値を増している。2020年度版の発表で、読者はより長い時系列で都市の経済?社會?環境における様々な変數の相関分析ができる。これらの変數は、本質的に都市における人間や組織の行動に関係している。
こうした実証研究では、「比較」が非常に大切である。比較から、都市のダイナミズムが理解できる。「比較」ということでは、1978年にシンガポールを訪問した鄧小平の「比較したければ、世界と比較せよ」という言葉を思い出す。中國の都市は、互いに比較することも大切だが、世界の先進的な都市から學ぶことも大切である。今後の〈中國都市総合発展指標〉に國際都市との指標比較を加えることを、周牧之教授に提案したい。