中國で年に一度開かれる全國両會(全國人民代表大會と中國人民政治協商會議全國委員會)は、今後の中國の発展動向を観察する上で重要な窓口となっており、商機を摑めるとして在中外資系企業から大きく注目されている。今年の政府活動報告書には、外資參入ネガティブリストの継続的削減や製造業分野の外資參入制限措置の完全撤廃、通信?醫療などサービス分野の市場參入制限の緩和など、數多くの対外開放拡大措置が盛り込まれた。
中國が外資系企業のビジネス環境を継続的に最適化しようと努力していることは誰の目にも明らかだ。外資誘致の強化に向けた24項目の措置の発表からわずか半年余りで、政策措置の6割以上が実施され、大きく進展を見せている。
ドイツ重電大手シーメンスのグローバル?エグゼクティブ?バイスプレジデント肖松氏は新華社の取材に対し、中國によるビジネス環境の最適化と高水準の対外開放に向けた取り組みが、在中外資系企業の成長への自信向上につながっていると指摘。「さまざまな市場主體が大いに競い合い、協力し合い、互いに利益を享受し合うことで、中國市場はより大きな潛在力を発揮するだろう」と語った。
花王(中國)の竹安將董事長は、有利な政策措置が実施されれれば、外資系企業により安定した投資環境とより幅広い協力の余地をもたらすだろうと語った。
世界経済は今年も引き続き大きな圧力に直面しており、在中外資系企業は中國経済の先行きを大いに注目している。彼らの見解では、中國政府が掲げる「5%前後」という今年の経済成長率目標は現実的な數字であり、ポジティブなシグナルだという。
健康補助食品メーカー、ハーバライフの中國法人、康寶萊中國の蔡孟紅総経理は「この成長率目標は中國の経済動向や発展パターンに沿ったものだ」と指摘。中國経済には膨大な需要や良質かつ豊富な労働力という利點があり、外資系企業も質の高い発展の恩恵を受けるだろうと語った。
セイコーエプソンの中國地域統括子會社エプソン(中國)の深石明宏董事長総経理は、中國経済には伸びしろがあると信じていると指摘。中國は新舊の成長エネルギーの転換を加速させ、質の高い発展を推進する重要な時期にあり、さらなる経済成長をけん引する動力源を育み放出するとの見方を示した。
こうした狀況の下、中國の新たな発展の勢いに密接に関わる両會で話題となったトレンドワードは、外資系企業が新たな道を切り開く上での重要な足掛かりとなっている。人工知能(AI)に別の産業を組み合わせた「AI+(プラス)」「消費財の以舊換新(買換え)」「スマート新エネ車」などのワードに期待が寄せられている。
シーメンスの肖氏は「『新たな質の生産力』というワードは、中國が質の高い経済発展を促進するための強力なエンジンとなりつつある。當社の戦略と非常に相性が良く、幅広い市場機會や新事業の成長點をもたらすものだ」と指摘。AIやデジタルツインといった最先端技術の応用を推進し、中國が「新たな質の生産力」を早期に育めるよう支援していくとの考えを示した。
中國の新エネ車は生産、販売臺數ともに世界シェアの6割以上を占めており、外資系自動車メーカーは市場參入に躍起になっている。韓國の現代自動車は、中國の新エネ車市場のチャンスを捉え、技術革命と産業変革の新ラウンドの中で、水素エネルギー、電動化、インテリジェントモバイルモビリティなどの主要分野での事業展開を加速させているという。
トヨタ自動車は、消費財の買い換えが掘り起こす潛在需要に著目。同社の擔當者は「中國は巨大な自動車市場を抱えているが、耐用年數が長く、かつ燃費性能の低くCO2排出量の多い車両が相當數ある。ガソリン車など従來車の買い換え促進は質の高い発展に向けた長期的な戦略になる」と語った。関連する政策対象が省エネ車に拡大し、自動車産業の質の高い発展を共に促進することを期待したいとしている。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2024年3月17日