2019年を振り返ると、中國の劇映畫は新たな繁栄復興期に入った。
金鶏賞の「最優秀作品賞」を獲得した滬劇映畫『挑山女人』をはじめとし、各地の劇映畫は國內の賞を多く獲得した。京劇映畫『曹操と楊修』、越劇映畫『西廂記』、粵劇映畫『白蛇伝?情』などはスペインのサンセバスチャン、日本の東京、イタリアのヴェネツィアなど國際A類映畫祭に登場し、滬劇映畫『雷雨』は約100萬元の興行成績を上げた。
このように咲き亂れる賑やかな雰囲気の裏で、「映畫を舞臺の復刻版にとどめず、劇映畫を時代の美的感覚に合わせ、親近感を持たせるにはどうするか」、「優れた劇の新作と名作を市場の奧深くに浸透させ、大勢に劇の百花園に入る機會を與えるにはどうするか」に対する期待が膨らんでいる。業界內では、これらの課題を解決できれば、劇映畫を新たな発展段階に押し上げ、映畫蕓術の1つのカテゴリとしてさらに拡張させることができるとみられている。
「より映畫的」、「より現代的」 技術と蕓術が互いを引き立てる
中國特有の映畫カテゴリとして、演劇が伴う中國映畫は「無」から「有」になり、一時は中國映畫市場で興行収入を引き付けるカテゴリだった。しかし、劇蕓術の伝承?発展が危機に直面し、上海劇映畫は真っ先に最新技術を導入し、4K高畫質、立體音響、3Dなどを劇映畫に応用した。これは映畫撮影と鑑賞の発展の動きと合致し、『覇王別姬』、『景陽鐘』、『西廂記』などの作品が生まれ、現代の観客が劇映畫というカテゴリに興味を持つようになった。
このような動きに影響され、これまで舞臺記録という性質を持っていた劇映畫の制作が全面的に発展した。今回の金鶏賞にエントリーされた京劇映畫『穆桂英掛帥』のコメントを見ると、「李勝素、于魁智、楊赤ら各流派の名役が揃っているため蕓術的に楽しめるうえに、その畫質と音質の面において、映畫産業レベルの努力が感じられる」という書き込みがある。
現代映畫の観念は劇蕓術の表現面におけるイノベーション行動と言える。金鶏賞を受賞した『挑山女人』を例にすると、同作が専門家に認められたのは、最も平たく言うと、「映畫作品としての自覚がある劇映畫」だからである。映畫の結末に、舞臺版の5分間に及ぶ賦子板の『風雨過後艶陽天』をそのまま殘した。映畫の多くの段落が観客の習慣にもたらす試練をどのように解決したか。汪灝監督は以下の工夫をこらした。主演の華雯が歌いながら家の中から舞臺に歩いていくとき、背景を舞臺を設置するスタッフに切り替える。80句以上の歌の臺詞の後、背景に斉雲山を出し、カメラを劇場の1000人の観客席の方向に180度回転させ、主人公の汪美紅が最初に立って拍手し、押し寄せるような拍手で感情を高める。
この革新は中國文蕓評論家協會の仲呈祥主席から、「『挑山女人』は劇の心の美學と映畫の寫実的な美學を合わせた成功作だ」と評価された。