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世界市場を視野にとらえた動き
発信時間: 2009-11-03 | チャイナネット

林國本

 

さいきん、北京の「中華世紀壇」で「國際デザイン週間」テーマ展が開催された。これまでも個々の分野の小規模のものは催されていたが、デザインのほとんどの分野のものをトータルに1カ所に集めたものはこれが初めてであろう。建國60周年の成果を基盤とし、改革?開放という外の世界とのリンケージを積み重ねる中で、中國の企業も、數はそれほど多くないとはいえ、資本參加や、M&Aの形で海外に出て行く試みが目につくようになった。

外の世界と接觸することになると、カルチュアーの相互學習は避けて通れない。私はマスコミの分野の特派員として東京に6年間長期滯在したことがあるが、土、日によくデパートにショッピングに行ったりする中で、中國製の洋服がイタリア製やフランス製のものの5分の1、ものによっては10分の1の値段で売られているのを見て、不可解に近い気持ちになったのを今でも覚えている。そして、デパートのバーゲンセールとなると、ほとんど中國からの輸入品が山積みにされているのが常であった。私は數千年來、工蕓品や手蕓品の世界で世界でも屈指のものを作り出してきた中國がなぜ、二流、三流の扱いを受けることに甘んじているのか不可解であった。中國から商談に來ている人たちに「なぜ同じカシミヤのコートなのに、イタリアやフランスのものには十數萬円の値段がつき、中國製品は1萬円均一のバーゲンセール扱いになるのか」と尋ねたことがある。この分野のビジネスに數十年攜わってきたその人たちは、中國の縫製技術の立ち遅れ、ボタンなどの時代遅れのデザイン、糸などの品質が劣ることなどを次々とあげて、ため息をついていた。そして、最後に、要するに、競爭がないから、だよ、と言った。つまり、業界でよく使われている「ブランド力」がない、ということだろう。イタリアやフランスのものと同じところに並べられるようになるには、おそらく私の子供の時代にならなければならないだろう。

東京に長期滯在しているときには、第三世界、発展途上國の國民としてのこのような「コンプレックス」を味わいつづけてきた。

しかし、舞臺は大転回した。今や中國は外貨保有高では世界一、ドル?ベースのGDPではそのうちに世界で2位になる、ともいわれている。今回のデザイン週間は実にグッド?タイミングと言えよう。勝ってかぶとの緒を締めよ、といわれているが、この辺で中國経済の構造面でのグレードアップに力を入れることをまじめに考えてみてはどうかと思うのである。

中國の乗用車販売臺數はうなぎのぼりの勢で伸びているが、しかし、発展途上國にいくらか輸出されているだけで、まだまだ「先進國」の市場に輸出されるには至っていない。「先進諸國」の乗用車メーカーは、歐米にデザイン部門をはりつけて市場のニーズを真剣に調査し、なまの情報を収集して、製品に反映させることに必死になっている。それに比べると、中國の乗用車メーカーは、まだまだ自國に閉じこもったままの発想を固守しているようだ。日用品の世界ではまだまだ、デザイン、機能面ではダサイといわざるをえない。內需を開拓して國內のユーザーに優先的に買ってもらい、國外のバイヤーたちからの注文がどっと舞い込むようにするためには、品質、デザインで勝負しなければならない。

今回のデザイン展には、インダストリアル?デザイン、グラフィック?デザインの勉強をした若者たちがわんさと詰めかけたと聞いている。そして、何回もくりかえし見に行った人もいるらしい。以前、日本の著名なワインのメーカーがユニークなボトルのデザインで売上げを大幅に伸ばした、という話を書物で見たことがあるが、このデザイン展がきっかけとなって、數多くの世界に羽ばたくデザイナーが現れることを願っている。そして、中國製品がバーゲンセールの対象でなくなり、イタリアやフランスの製品と堂々と肩を並べる日が早く來ることを願っている。

 

「チャイナネット」 2009年11月3日

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