林國本
今回、南アフリカで開催されたサッカー?ワールドカップは、中國のメディアでも、大々的に取り上げられた。私はずっと日本と関係のある仕事をしてきたこともあって、習慣的に日本のメディアとよく比較しているが、今回は報道面では、中國のメディアの力の入れ方は日本を上回ったような気がする。これは中國の人口が日本より多く、サッカー?ファンも多いこととも関連があるし、また、北京オリンピック以後のスポーツ熱の高まりとも関連がある。
面白いことに、今回のサッカー報道は、プロの評論家ばかりでなく、アマチュアの「評論家」(もちろん、他の分野で知名度の高い人が多いが)も「一家言」を述べている記事が多かったことだ。これからも、サッカーファンの層がいかに厚いかがわかる。
そして、どの評論も一応公正かつ妥當なものであったが、しかし、「イマイチ」と思えるものもなかったわけではない。中國サッカー界は中國サッカーをいちはやくレベルアップするために、世界のトップクラスのチームの研究に力を入れてきたことは一応正解だといえるが、予選突破という関門であるアジアの近隣のサッカーに対する知識はかなり欠けているような気がする。
私の手元に阪本一知氏の「オーレ!Jリーグ?サッカー熱狂読本」というものがあるが、これを見るだけでも日本のサッカー界の今日までの歩みを一応知ることができるが、中國の評論家のコメントを見ていると、かなり的はずれのものもある。日本のサッカー界はここまで來るためにいろいろ紆余屈折した道を歩んできた。この軌跡を的確に解読すれば、中國サッカーはもしかしたら「他山の石」として、いろいろ參考になったと思うが、その作業が欠落していたかのように思える。
さいきん、ポスト?ワールド?カップのいろいろな記事の中に、少年の段階からサッカーに親しめる環境を整えることの必要性を説くものがあったが、前出の坂本氏の本の中にも、日本のサッカー界の先輩たちが、ドイツのスポーツ施設を見學した時のことが詳述されているが、日本でもサッカーの普及と強化のためのホームタウン制度などが熱心に考えられている。日本サッカー?チームにはすでに何人かの選手が外國の著名なチームでプレイした経験がある選手がいる。今回はGKとディフェンダーがすでにヨーロッパ?チーム入りをはたしている。
中國のサッカー界でも一部の人は、2014年のワールドカップでは、中國チームの姿を目にしたいものだ、と言っている人もいるが、これは中國のサッカー?ファンの願いでもあろう。しかし、そのためにはまず予選を突破しなければならない。したがって、スペイン、オランダのチームをじっくり研究することも必要だが、かなり手ごわいアジアのサッカーをもう少しよく知ることも不可欠ではないだろうか。
また、南アフリカはワールドカップ開催の成功で自信を深め、オリンピックの招致も考えている。中國も北京オリンピック、上海萬博で大國としての自信を深めている。これを追い風にサッカーを含めて、もろもろの事業のグレードアップを考える時期に來ているのではないだろうか。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2010年7月22日