日本外務省は28日、北方四島に対する08年度の人道支援の中止を決定した。日本側の職員が現地ロシア人住民に醫療物資を支援するため船で國後島へ向かったが、ロシア側から出入國カードの提出を要求され、交渉が決裂したことが原因だ。日本側職員はカードの提出を拒否し、北海道の根室港へ引き返した。河村建夫官房長官は28日の記者會見で、この問題についてすでにロシア側に抗議したことを明らかにした。
児玉和夫外務報道官は同日の記者會見で、カードを提出すれば、國後島をロシア領と認めることになるとして、ロシア側の姿勢を「理解に苦しむ」と批判した。報道によるとロシア側は、06年の國內法改正で出入國者はカードの提出が必要になったと説明。すでに23日に日本側に通告していたという。
日本は03年度より、北方四島のロシア人住民に年1回人道支援物資を提供している。北方四島で施設建設などを行ってきた國際組織「支援委員會」の廃止後、元島民団體「千島歯舞諸島居住者連盟」が03年度より醫療物資の無料提供を実施してきた。日本側によると06年と07年の支援では、ロシア側は出入國カードの提出を求めなかったという。今回は醫薬品を含む1280萬円(約98萬元)相當の物資支援を行う予定だった。日本側はロシアが出入國カードの提出要求を撤回する可能性が高いと考え、支援物資を積んだ船を27日に根室港から出航させた。國後島近海に到著後、外交ルートを通じて交渉を行ったが、合意に至らなかった。
1991年の日本とソ連との合意により、日本國民と北方四島のロシア人住民はビザなし相互訪問ができることになっており、出入國カードを提出したケースはこれまでない。日本側は、ロシア側が出入國カードの提出を求め続けた場合、外交問題に発展し、両者間の「ビザなし交流」も中止に追い込まれると見ている。
ロシアのメドベージェフ大統領が先日、麻生太郎首相にサハリン島での首脳會談を提案しており、またプーチン首相の訪日も調整中であることから、雙方共に今回の件で日ロ関係が膠著狀態に陥ることは望んでいない。日本側は28日「これが領土問題解決を含む平和條約締結交渉に影響を及ぼすことがあってはならない」と明確に表明した。ロシア外務省は28日「政治問題化しようとする目論見は非生産的だ」との聲明を発表した。両國政府は問題解決のため協議に入ることを決定。首脳會談前に雙方が妥協できるか否かはまだ不透明だ。
「人民網日本語版」2009年1月30日 |