■中國との出會い
そもそも北京に來ようと思ったきっかけは?
日本で大學入ったころから東京に出て、大學時代から演劇の舞臺の寫真をずっと撮っていたんです。チラシやポスター、役者の寫真など、いろんなところで寫真の需要が少なからずあったので、學生時代から結(jié)構忙しく、劇団とか役者さんとかいろんなところとお付き合いがありました。そういう形で寫真を撮るようになって、大學を卒業(yè)した後しばらく経って、國際交流を兼ねて演劇活動をしていたク?ナウカシアターカンパニーの関係で中國公演をやるという話があって參加しました。
チベットや遼寧省、雲(yún)南省など數(shù)カ所を巡る全部で3週間くらいのツアーでした。チベットのことを何も知らなかったんですが、標高が高いところで、富士山の上で公演するようなもんだって聞いて、ぜひ行きたいと思ったんです。役者がそういうところでちゃんと芝居ができるのかどうかっていうようなこととかも含めて、とりあえず同行取材しようっていって。
その頃まで中國がどんなところかもよく知らなかったし、しかもこの時訪れたのは北京とか上海ではなくて中國の田舎。その田舎の方に行ったことによって、日本ではもう見られなくなったような風景とか、何かこう日本の都會では見られないような、人間の原動力のようなものを感じたんですね。「なんてフォトジェニックな國なんだ。いつか寫真を撮りに行きたい」っていって。これまでもアメリカに行ったりヨーロッパに行ったり、海外旅行はしてたんですけど、初めてのアジアで。なんか日本人とは違うんだけど、でもやっぱりどこかなんかつながってるものを感じたりして、すごく魅力を感じました。これが人生で初めて中國に直接觸れた経験でした。
中國辺境ツアーに參加した際に六渡さんが撮影した寫真
これが中國との出會いだったわけですね。ではどういうきっかけで実際に北京に來ることに?
その後オリンピックが決まるなど中國経済がどんどん伸びてきて、それとともに日本のメディアが上海取材をしようとか上海の料理を取材しようとか中國に注目し始めたとこもあり、寫真の仕事で中國に取材に來るっていうことがあって。その頃になって上海を訪れたり北京に來たりして、街の様子を見ていると、ここでも仕事ができるんじゃないかと。ちょうど日本は経済がだいぶ下り坂になってきたこともあって、拠點を移したら結(jié)構楽しいんじゃないかと。それに以前見た田舎、中國の都會じゃない部分を見たときに受けたイメージもあって、北京なり、上海なりに拠點を置けば、また次なる目的に近づけるんじゃないかということがありました。
當時は上海に拠點を置いて仕事しようと思ってたんですが、まあいろいろ考えているうちに、なんか北京の方が歴史的建造物が殘っていたり、上海はあまりに都會になり過ぎて、これじゃ東京にいるのと変わんないじゃないかと。あまり情緒を感じない部分があったので、出版物とかメディアに関わる部分は、首都の北京の方がいいのではと総合的に考えて北京にしようと思ったわけです。
北京に來られる時はカフェをやるつもりは全く念頭になかったわけですか?
まったく考えてなかったです。ただ北京に取材に來た時は、故宮の中にスターバックスがあるっていうこととかで。もうなくなってますけど。中國文化の中でコーヒーが浸透していないのに、スターバックスがどういう戦略で中國市場に乗り込んだかっていうのを取材しようとして。結(jié)局実現(xiàn)しなかったんですけども、取材しようとして、その下調(diào)べできたりとかしてたんです。だから、インタビューをしようとか、そういうのでアポをとったりとかはしてたんですけど。
スターバックスを取材しようと思ったのはどうして?
コーヒーはもともと好きなので、やっぱりお茶の文化であって、コーヒーの文化が浸透していない、そこにどうして進出しようとするのか。それは考えようじゃないですか。何もないからそこはもうマーケットがないと考えるか、それとも何もないからこれからマーケットが伸びると考えるか。それをスターバックスの社長に聞いてみたかったっていうのが大きいです。
故宮のスターバックスに1日ずっといたんですよ。そしたら、やっぱり観光客で白人とかはコーヒー頼むんですけど、中國人の田舎から來たおじいさん、おばあさんは入ってきて、水筒を持ってお湯をくれとか言うんですよ。それを斷らずに、お湯をあげてしまうところが中國だなみたいな感じで。やっぱりまだそんなに売り上げも伸びてなかったと思いますし、王府井の北の方に、今もうなくなっちゃったんですけど、やっぱりスターバックスが一軒あったんですけど、がらがらだったんですね。これ大丈夫なのかなって。やっぱり若者の中でも(流行に)よほど敏感な人や、懐具合もいい人などは、ちょこちょこと入ってますが、まだがらがらで。これはどうなんだろうね、伸びていくのかなって。
その後やっぱり2005年に來た時には、すでに太平洋百貨の隣のスターバックスとかは普通に待ち合わせする場所だったり打ち合わせしてたりとかする場所に移り変わっていたので、もう浸透しちゃったんだなって。コーヒー飲む人はすごく増えたと思いますね。