香港から実戦経験のある災害心理カウンセラーが被害の大きかった被災地に入り、數日で230人余りの、心に傷を負った被災者を治療した。心理カウンセラーや通訳などからなるこのボランティアチームは今月14日から18日まで巖手県花巻市に赴いた。チームはこれまでに四川大地震や南アジアでの津波などさまざまな災害支援に參加した経験をもつ。
顧問の趙威廉氏は日本に到著當初の情景を振り返り、「現地の心理カウンセラーに対面するやいなや、彼らが大聲を上げて泣き出した。「日本人はあまり感情を見せない人たちだと思っていたので、これには驚いた」と語る。
チームリーダーの杜永政氏は、人が一人死亡すると、7人の感情に影響するといわれるが、日本はもともと社會條件や経済條件がいいため、被災者の落ち込みようはさらに激しいと指摘する。
◆毎晩元気の出る映畫を放映して心の応急処置
チームは7つの小グループにわかれてそれぞれ被災した家庭を見て回り、被災者の不眠を治療したり、感情のコントロールの仕方を指導していった。チームのメンバーは香港市民から寄せられた2トン分の生活物資や食料、勵ましのメッセージが書かれたカードのほか、パソコンや映寫機まで被災地に屆け、毎晩被災者のために元気の出る邦畫を放映したり、日本語の歌を歌ったり、被災者に希望を持ってもらおうと心を盡くした。
ある忘れられない出來事を、心理カウンセリングの経験豊富な杜氏が語ってくれた。あるおばあちゃんの一家9人はなんとか無事に地震を逃れたものの、その後の津波でおばあちゃんは一夜にして8人の家族を失った。「最初、おばあちゃんの様子はとても平靜で、禮儀正しく、微笑を浮かべていた。見た目はそんな悲慘な経験をしたようには見えなかった」と杜氏はいう。ところが、心のケアをしていくと、おばあちゃんは泣き出したのだそうだ。
チームは數日の間に200人を超える被災者の心のケアを行った。1人につき1時間までという制限をつけ、「緊急」態勢の心理治療を提供した。すべての被災者の悲慘な経験を聞いてあげられたわけではないが、多くの日本人がこの香港からのボランティアに心を打たれたという。
◆機內で、日本人キャビンアテンダントが涙ながらに感謝