「中國で最も人気のある日本人」と言われている加藤嘉一さんが、自身の中國での8年間にわたる生活での経験や感じた事を綴った『中國のロジック』。そこでは、第三者と言う中立的な立場で見た中國の人々が當たり前だと感じている日常や出來事が語られており、このような出來事を解決するための「処方箋」が示している。その「処方箋」が中國にどれだけ役に立つのかはさて置き、加藤嘉一さんの勇気ある指摘に人々は感心した。
以下は著書からの抜粋。
?80後、90後?のロジック
日本では「80後(1980年代生まれ)、90後(1990年代生まれ)」というように區別する習慣はない。そのため、私のような「80後」が「90年後」をとやかく言うのは少し落ち著かない感じがする。日本にはただ「若者」という言い方があるだけで、世の中の大人たちは「最近の若者は根性がない」と批判し、「自分たちが若かった時は、何か気に食わないことがあると、すぐに街に出て、授業をストライキしていた。『60年安保闘爭』のときは、國會でデモを行い、死ぬ事を恐れなかった。それなのに、最近の若者は何だ。オタクばっかりでがっかりする。日本の未來が心配だよ」と皮肉を言う。
日本の若者に根性がないのは、今の世の中の雰囲気と密接に関係している。私は1984年生まれだが、物心が付いた頃にはバブルが崩壊し、暗いニュースばかりが流れていた。それに比べ、私たちを批判していた大人たちが若かった頃は、日本は活力に溢れ、高度経済成長期の真っ盛りだった。環境が人を変え、時代が人を作るのだ。
では、中國の大人たちと若者の関係はどうか。ここでも前者は後者を批判していると思う。責任感がないとか、自立力がないとか。社會は若者を責めてはいけない。若者は自分を認めて、自力で立ち直る力が強くない。それは世界共通なのだ。性格も個性も、気持ちも社會や體制、世論の影響を受ける。中國のメディアはすぐに、若者は落ち著きがなく、弱気で視野が狹いというが、落ち著き払っている若者ばかりの社會はどこか恐ろしいと感じないだろうか。現狀をきちんと把握し、未來を正確に見通す力がある若者が普通なのだろうか。少なくとも私は、社會が大きな転換期を向かえ、西洋文化の影響を色濃く受ける中國での、今の若者の狀態は普通で當たり前だと感じる。
?中國網日本語版(チャイナネット)? 2011年5月10日