A級戦犯のまつられる靖國神社にこのほど、日本の國會議員168人が大規模な集団參拝を行った。同時に、日本の右翼団體約80人が日本國旗をつけた漁船10艘に乗り込み、釣魚島(日本側呼稱は尖閣諸島)への接近を試みた。海と陸とのこの行動は、偶然とは思われない。中國人と韓國人にとっては、火に油を注ぐ挑戦と見られる行動となった。シンガポール紙「聯合早報」社説が伝えた。
日本が中韓と爭う釣魚島と竹島(韓國側呼稱獨島)の主権問題は現在、緊張のピークに達しつつある。安倍內閣はこうした時期になぜ、隣國の敏感な神経を刺激することをいとわず、獨斷専行を進め、必要のない右翼の挑戦行為を許しておくのだろうか。一つの解釈としては、日本が7月に參議院選挙を控えていることが挙げられる。昨年末の衆議院選挙で自民黨は多數の議席を獲得した。しかし參議院の議席は過半數に達していない。安倍はここでさらに努力を重ね、參議院でも多數派につけ、政権を安定化することを望んでいる。
しかし東中國海でのにらみ合いは、武力衝突の可能性をこれまでにないほど高めている。隣國関係の緊張が高まる中で、靖國神社への參拝を決行したのが、もしも國內政治のためだとすればどうだろうか。一觸即発の國際狀況下で、小さな利益のために大きな害への配慮を怠ることは、賢くないと言うにとどまらず、愚の骨頂であるとは言えないだろうか。
安倍首相は12月の就任後、“アベノミクス”の実行で一定の成果を上げた。世論調査での支持率も上がり、自信を付けた安倍政権は、隣國との島の主権爭いにおいて非妥協的な態度を強硬に取り、國內右翼勢力を助長している。さらに中國と島の主権爭いを抱えるASEAN加盟國への接近を試み、中國との対立をあおり、問題を複雑化している。こうした瀬戸際外交は、「朝日新聞」の社説にあるように、靖國という“火種”をまくものである。自ら進んでこれを抑え、適時に手を引かなければ、その火はやがて自分に帰ってくることになるだろう。