鴻海精密工業がシャープを60億ドルで買収する件が、先週から日本メディアを騒がせている。日本の國寶ブランドともいえる「シャープ」が、なんと臺灣の受託製造工場に買収されることになり、日本産業界のプライドはひどく傷ついたようだ。
シャープだけではない。ソニー、パナソニック、シャープの日本家電産業大手3社は近年、軒並みに経営難に陥っている。殘酷な現実を前に、プライドは取るにも足りない問題であり、窮地脫出の道を探ることこそが急務である。
シャープ?パナソニック?ソニーは、それぞれ他社からの買収?モデル転換?整合という方法で窮地脫出を図っているが、成功するかどうかは未だ判斷できない。ところが、モデル転換やグレードアップの段階にある中國企業にとって、こうした3つのケースは學習のよいチャンスであり、その経緯を見守る必要がある。
シャープは2011年から2014年までの5年で、4年も巨額な赤字を出している。2011年には4000億、2012年には5000億の赤字になり、2013年に一旦黒字に転じたが、2014年にまた2223億円の赤字に転落した。最新の財務諸表によると、2015年第1-3四半期は1083億円の赤字を計上したという。
1912年に創業したシャープは百年の歴史を誇る老舗企業であり、薄型テレビや液晶ディスプレイなど、日本一や世界一を記録した新製品を多數出している。ところが、製品自體のグレードアップにこだわるあまりに、需要の変化や製品の交代を見逃すという日本企業によくみられる過ちを犯してしまった。たとえば、最も得意な液晶テレビの分野において、映像の効果?色の豊かさ?更新頻度?省エネ?小型化など、製品の品質を磨くことを研究開発の方向にしていたシャープは、液晶テレビという業界自體が縮小傾向にあり、消費者のディスプレイ機器に対する需要がスマートフォンなどの革新的な製品に移っていることを把握することができなかった。