日本の麻生太郎副首相兼財相は先ほどニューヨークで講演し、米國が離脫を宣言した環太平洋経済連攜協定(TPP)について、「5月のアジア太平洋経済協力會議(APEC)で、(米國を除く)11カ國と交渉を再開する」と表明した。安倍晉三首相は以前、米國不在のTPPは「無意義」と述べていた。
日本政府のTPPに関する立場は、なぜ180度も急変したのだろうか。これによりTPPを蘇らせることはできるのだろうか。
日本政府は米國のTPP復帰に固執せず、リーダーシップを発揮し「11カ國版TPP」をけん引しようとしている。この裏には、深い理由が隠されている。
まずは、アジア太平洋地域経済一體化の主導権を手にするためだ。東アジア全體の主導は日本が抱き続けてきた願いであり、今回の「バトンタッチ」はこの願いを実現する絶好のチャンスだ。日本はTPPの主導権を目指すことで、貿易ルールの制定でより大きな影響力と発言権を手にしようとしている。
次に、TPPは日本経済と安倍首相の政治生命にとって、極めて重要だ。日本は貿易に高度依存する典型的な外向き型経済國であり、より高水準かつ広範な自由貿易協定(FTA)を必要としている。TPPは日本経済の力強い成長の基礎を築くことができる。さらに重要なのは、TPPがアベノミクスの基盤をなしていることだ。アベノミクスの効果は、安倍首相の政治の前途に直接影響を及ぼす。
それから、日本はTPPで米國をけん制しようとしている。トランプ大統領の就任後、日米は為替や農作物などの問題で食い違いを露呈している。米國はTPPという多國間枠組みから離脫し、日本との二國間FTA交渉を求めている。実際には日本に対して、農作物や自動車などの問題で、さらなる譲歩を迫ることが目的だ。米國の攻勢を受ける日本が、米國不在のTPPを発効させられれば、逆に米國をけん制できる。米國企業と労働者が、大きな影響を被るだろう。
TPPが當初、多くのアジア太平洋諸國から重視されていたのは、米國が「ボス」であるだけでなく、大きな市場であり、巨額の資金を輸出する國だったからだ。中國社會科學院日本研究所外交研究室の呂耀東主任は「米國離脫により、TPPの將來性は大きく低下する。ベトナムなどの參加國は當初、米國という船に便乗しようと思っていた」と指摘した。
ロイター通信によると、メキシコのグアハルド経済相も先ほど、日本主導のTPPになった場合でも、メキシコとその他の參加國は米國不在でTPPの利害を見直すことが可能と表明した。メキシコとカナダは米國との北米自由貿易協定の交渉再開をより重視しており、TPPの発効を促し続けても反応が得られない可能性がある。
また11カ國はTPPをめぐり、慣らしと駆け引きを踏まえることになる。呂氏は「ベトナムなど多くの國は、地域包括的経済連攜(RCEP)の參加國でもある。彼らは左右を見、どちらからも利益を手にしようとするだろう」と分析した。
日本は世界3位の経済國だが、人口は1億人余りで、世界に大きな消費市場を提供できない。TPPの「ボス」が、國內市場が小さく、しかもその他の參加國と輸出の「パイ」を爭おうとする日本になれば、このようなTPPは各國にとって受け入れがたく、十分に魅力的とは言えなくなるだろう。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2017年4月26日