EUかつて米國と同じように世界の中心であり、過去數世紀はほぼ西側が主導した世紀であり、歐州の重要性は疑いのないものだ。だが、國際関係の重心が大西洋から太平洋へと移るに伴い、歐州の重要性は明らかに相対的に低下していった。これも今日の歐州人がもつ喪失感の根本的原因である。EUは27カ國で構成され、歐州人自らも共同の外交政策がなく、また共同の防衛政策もないことを認めているが故に、EUは國際関係において一つの統一された行為者としてその役割を発揮することができないのである。EU自身もこの弱點を認識しており、リスボン條約発効後、ヘルマン?ファンロンバイ氏を歐州理事會常任議長(俗稱「EU大統領」)、キャサリン?アシュトン氏を歐州理事會外務?安全保障上級代表(俗稱「EU外相」)に選出した。だが、両氏ともに歐州の重要人物ではなく、結局のところどれほどの役割を発揮できるのか、見守りたい。もちろん、EUが依然として世界最大の経済體であることに目を向ける必要があり、08年の世界の61兆ドルのGDPに占める割合は18兆ドル。EUは國際関係においても依然として重要な力を有しており、その重要性の低下は相対的にしか言えない。
中國は一気に國際舞臺の中心へと上っていったが、正直なところ、われわれは思想的に十分な準備をしていなかった。まさにそのために、國際舞臺の中心に置かれている國は何を防ぎ、何を行い、何に注意すべきか、という問題をわれわれ中國人が考えるにはより多くの時間が必要になるだろう。
われわれが防がねばならないのは恐らく、「大きな顔をする」ことだろう。いわゆる「大きな顔をする」とは、有頂天になることであり、大きな力があると自ら思い込み、他國に大聲で叫んだり、小國を侮ったり、他人に傲慢無禮を働いたりすることである。それは決してあってはならないことだ。私はかつて、中國人は大きな災難は恐れないが、ただ眩暈を感じるのを恐れると語ったことがある。われわれの國は、その自然環境と數千年の文明史の故に、中華民族にとくに苦しみに耐え、とくに大きな災難を乗り越えられる能力を與えたのである。歴史的経験が告げているように、中國人がもんどり打ってひっくり返る時は、決まって自ら力があると考えている時なのである。今日、國際舞臺の中心へと上ったものの、それは始まったばかりであり、われわれの地位はまだ確かなものではなく、こうした狀況の中、有頂天になることにとくに警戒心を持つ必要がある。
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