米シンクタンクのジェームズタウン財団が発行する『チャイナブリーフィング』に8日、「中國政府は先進的な軍事技術の発展に必要な重要元素――レアアースの供給の抑制を強化している」とする文章が掲載された。中國のレアアース埋蔵量は世界のわずか36%だが、2009年の生産量は12萬トンで、世界の総生産量の97%を占めている。中國が近ごろ採っている一連の措置に対し、一部ではこれが國外のレアアース資源への投資を大きく妨げ、中國はこの重要な戦略的資源を獨占するようになるという懸念がされている。そのほか、レアアース供給に影響が及び、中國が強大なハイテク工業を建設し、軍事の現代化を進める上で、中國に戦略的な優位を與えることになると考えられる。「新華ネット」が伝えた。
米國、中國政府によるレアアース供給の抑制強化を指摘
文章には、中國政府はレアアース供給の抑制を強化しており、このような資源は先進的な軍事技術の発展に必要な重要元素であることが記されている。政府は今年9月上旬、レアアース部門の合併買収の促進を支援し、國有企業のリードのもとでこの戦略的工業の統合を強化する方針を発表した。中國の指導者は、「希土類元素(レアアース)」の戦略的な重要性を長期にわたって強調している。鄧小平氏がかつて述べたように、「中東に石油があるように、中國にはレアアースがある」。世界のレアアース消費量の約97%は中國が供給するもので、これにはセリウム、ネジウム、ランタン、イットリウム、ジスプロシウムなどの17種の元素が含まれる。レアアースはすでにハイテク事業や軍事応用の主な成分となっており、磁性體、レーザー、光ファイバー、コンピュータディスプレイ、攜帯電話、ステンレス、多くのエコ技術のほか、ミサイルやスマート兵器、ジェットエンジン、カーナビ、その他の先進的な軍事技術にも幅広く使用されている。
中國國務院が6日に発表した方針は、中央政府が近ごろ進める戦略的な工業調整の強化と一致している。報道によると、政府は2015年までに、レアアース企業を現在の90社から20社に減らす方針だ。また中國は、輸出割當額の減少、違法採掘や鉱物の密輸取り締まり、新規の採鉱許可証と生産限度枠の発行の停止、レアアース市場の生産?輸送?販売の監視システムの構築などの措置を打ち出す。これらの方針が政府のレアアースの採掘、生産、輸出に関する厳しい規制と合わさり、レアアース部門は政府と密接な関係にある少數の選ばれた國有企業に主導権を握られる可能性が高い。
文章中の記述によると、中國のレアアース生産量は世界の供給量の97%を占めるが、中國の埋蔵量は世界の埋蔵量のわずか59.3%にすぎない。さらに2009年は、中國の埋蔵量は世界の総量の36%を占めたが、生産量は12萬トンに達し、世界の生産量の97%を占めている。ところが、中國稀土學會の張安文副事務長は、「過剰な採掘と不適切な管理が影響し、これらの資源の価値はかなり低く評価されている」と話す。
政府が中國のレアアース業を強化するために採ったと思われる最初の措置において、中央企業は地方の國有レアメタル企業やレアアース企業の引き継ぎに乗り出している。國有企業の中國アルミは9月26日、江西希土金屬?タングステン集団(JXTC)に100億元を出資することを発表した。
その前の5月には、別の國有企業である中國五砿集団が、湖南省郴州市のタングステンとレアアースの生産に45-55億元を投資することで合意に達した。
中國政府は、これらの措置を採るのも環境保護のためだと表明している。中國商務部の陳徳銘部長は、「レアアースの大規模な採掘は環境に深刻な影響を及ぼし、これこそが中國がレアアースの生産、採掘、取引の抑制を強化する理由である。レアアースを輸出し、國內経済を発展させるために環境や國の安全を脅かしてはいけない」と強調した。