香港『南華早報』12月8日付け記事 中國の戴秉國國務委員は異例の文章発表を行い、同國が米國に取って代わり世界の支配的な勢力となることは決してないとした。
この文章は外交部サイトに掲載されたもので、中國の次の5カ年計畫への観點について述べた一連の文章の一つである。外交部はこの時、戴秉國が執筆した9000字以上の文章を掲載した。これは米國に見せると同時に焦り始めた隣國をなだめるためのものだとの見方もある。
文章には次のように書かれている。「中國が米國に代わり世界で支配的勢力となる」という見方があるが、これは神話に過ぎない。中國の戦略意図は一部の人々が考えているほど複雑でも予測不可能なものでもないし、表には出せない目的や野心も存在しない。中國の戦略は「和平発展」の4文字で総括することができる。それはつまり、「対內的には協調、発展を願い、対外的には平和、協力を望む」というものである。
先月末、朝鮮が韓國のヨンピョン島を砲撃後、米韓は黃海での合同軍事演習を開始、米空母「ジョージ?ワシントン」號もその演習に參加した。中國のベテラン外交官である戴秉國氏は演習開始の際、韓國を訪れた。
中國人民大學國際関係専門家の時殷弘教授によれば、戴秉國氏の文章は、中國が一部の高官の中米問題や東海及び南海演習問題における「不適切な発言」を修正しようとしていることを表しているという。
また同氏は「中國は自身の東海及び南海での軍事活動が、東南アジア隣國の「中國脅威論」への不安を煽ったことを意識している。我々が朝鮮の韓國砲撃に対し曖昧な態度をとっていることで、日米はへそを曲げ、情勢は悪化し、軍事対抗となってしまった。中國側はこのような結果を望んではいないが、國家政策として冷靜を保ち、他國事情には手を出さないというルールがある」と続ける。
戴秉國は中國が軍備競爭の道に進まないことを強調し、その軍事費用の増加も領土保護として國の「核心的利益」を守っているに過ぎないとした。また、昨今の中國の自信過剰な狀態は鄧小平氏の提唱した「韜光養晦」(才能を隠して控えめにふるまう)という外交方針に背くのではないかという推測に反駁し、中國はその原則を堅持していくことを表明した。
中國人民大學中米間係専門家の金燦栄によれば、戴秉國氏の文章は、中國國內の「平和的発展」路線を今後も続けていくべきか否かの論爭を鎮めることが主な目的であるという。同氏は言う「十二?五計畫はいまだ議論の最中で、戴秉國氏はこの機會を利用し、今後どんなことがあっても自分たちがこの原則を守り続けていくことを伝えようとしている。」
「中國網日本語版(チャイナネット)」2010年12月10日