中東混亂は中國のチャンス?
中東の混亂が中國にチャンスをもたらすという中國人學者がいる。それは第一に、中東情勢の混亂により米國のアジア太平洋地區への戦略的投入がダウンし、第二に、米國の中東における勢力が縮小することで、その他の大國や新興大國、特に中國に戦略空間を與えることになるというものである。
しかし、執筆者は米國の中東戦略縮小は、長期的戦略における一時的かつ表面的なものだと考える。米國は、決してその非同盟國、特に中國が中東における戦略的利益を拡大できるようなすきを與えるはずがない。
また、米國國內経済はその回復に當たって課題が山積しており、政治的対立も深まりを見せているため、オバマ大統領も続投のためにはそれらの難題を解決せねばならず、更にイラク、アフガン戦爭に追われて、しばらくは中國の臺頭に対応する余力はないとする學者もいる。
これは全くのでたらめというわけではないが、米國の國益保護における「中國脅威論」の重要性を甘く見てしまっている。昨年からの一連の動きを見れば、米國のアジア版「NATO」はすでにその原形が出來上がっており、米國がこの體系を維持し強化しようとしていることが分かる。
いずれにせよ、中國の臺頭はすでに多くの國家の不安と焦りを引き起こしている。一方の中國自身も改革がその深まりを増すにつれ、様々な矛盾と困難が共存している狀態で、いかなる不注意も想定外の結果を招く恐れがある。中國の「戦略的チャンス」の強みが徐々に衰えつつある現実を正しく認識することが、中國政府が理知的に國內外の政策を制定するための一助となる。
?中國網日本語版(チャイナネット)? 2011年4月22日