米國が中國のA2/AD能力の向上を口実に「統合エアシーバトル」という新たな構想を打ち出し、かつ著実に実行しているのは、中國の玄関先で米軍が好きなように行動できるようにするため以外に、より重要な企てとして、未來の軍事競爭における新たな戦略上の要害の高地を奪うことがある。冷戦期、米國はソ連の強大な地上裝甲部隊への対応を理由に、「統合エアグラウンドバトル」構想を打ち出し、大量の先進兵器を開発した。現在は軍事面での米國の絶対的な優位性を確保するため、「統合エアシーバトル」構想の下、無人機、電子戦ミサイル、サイバー戦、指向性エネルギーなど新たなコンセプトの兵器の開発に力を入れている。これが新たな國際軍拡競爭を招くことは確実だ。
さらに深刻なのは、米國が「統合エアシーバトル」構想にかこつけて、冷戦的色彩を帯びた新たな軍事同盟體制を築こうとしていることだ。「統合エアシーバトル」構想は地域の全同盟國の參加、構想に沿った新たな基地ネットワークと任務分擔體制の構築を必要とする。こうなると地域各國間の戦略面の相互信頼が破壊され、猜疑と誤解が増え、安全保障関係の相互作用はマイナスの悪循環へと向かうだろう。
グローバル化の時代において各國の利益は日増しに重なり合い、互いに依存している。気候変動、テロ、國際犯罪、大量破壊兵器拡散、世界金融危機へのいずれの対策においても、大國を始めとする各國の団結と協力が必要だ。こうした大きな戦略的背景の下で、「統合エアシーバトル」構想を打ち出し、その推進に拍車をかける米國の行動は、平和?発展?協力という時代の理念に全く逆行している。
「人民網日本語版」2011年12月14日