中國の第4世代ステルス戦闘機「J20」
中國のステルス戦闘機「J20」の登場は、歐米の軍事専門家の予測より少し早かったが、私は意外に感じなかった。(文:テッド?カーペンター米ケイトー研究所上級研究員。「國際先駆導報」掲載)
中國軍の兵器近代化は秩序立って進められている。中國のように守るべき経済?安保上の利益が増えていれば、どの國も兵器近代化に向けて似通った努力をするだろう。
■中國軍は無謀な行動はしない
米國の政策決定者、特に軍事政策の策定者と話をする際、彼らが注目するのは中國の新兵器が西太平洋または南中國海での米國の軍事介入能力にどのような影響を與えるかだ。つまり中國はまだグローバルな軍事競爭相手とは見なされていないのだ。米國から見ると、中國は一流の近代的軍事力を形成しつつあるが、米國との隔たりは依然大きい。米國の軍事政策決定上の重要な要素になるには、さらに數年を要すだろう。だが米國は、現行政策の維持が將來的により困難になり、危険性を増し、高くつくようになることを懸念している。特に大陸が臺灣と衝突し、米國が介入を図る際だ。
中國の立場に立って考えると、安全保障面で苦境に置かれているのは確かだ。中國は経済?安全保障上の利益を拡大しているが、特に中東からの石油の生命線は、その供給航路の大部分が米國とその同盟國、および中國の潛在的ライバルであるインドに押さえられている。
一方、中國の隣國を始めとする他の國々は、中國軍の近代化を國力拡張の動きと考えるだろう。こうした國々はそれに応じて自國の軍備を拡充する。軍拡競爭は通常、こうして始まるのだ。
総じて言えば、中國の軍事費と中國軍の近代化の程度は、自國の利益を守るための正常な必要性を上回るものではなく、中國軍の近代化に異常な點はない。米國の一部タカ派は中國の軍備強化は行き過ぎている、正常ではないと指摘しているが、客観的に言って、こうした見方は、少なくとも現時點では事実を反映していない。