新年を迎えて早々、世界は緊張が高まる中東情勢に向き合わざるを得ない狀況になった。近ごろ、イランと米國の対峙が再びエスカレートし、2012年にペルシャ灣で戦火が再燃するという見方も強まっている。米國が打ち出した厳しい原油輸入に関する制裁措置に、イランはホルムズ海峽封鎖という「切り札」で対抗。米國はこれに対し、「容認できない」「許せない」と表明した。
中國外交部の洪磊報道官は12月29日、定例記者會見で、ホルムズ海峽の平和と安定を望むと述べている。12月28日から29日にかけて、中國の翟じゅん外交部副部長はイランに赴き、政治交渉を行った。ロイター通信は、中國外交部がこうした尋常でない時期に行動に乗り出したことについて、イランとの商業関係の敏感さを物語っていると分析した。
ホルムズ海峽はアラビア半島とイラン南部の間に位置し、最も狹いところは幅わずか48.3キロしかない。サウジアラビアなど原油大國が原油を輸送する主な海上ルートであり、西側諸國から「戦略的要衝」と見られている。統計によると、世界の4割の原油および膨大な量の天然ガスがここを経由して世界各地に輸送されている。2011年の毎日の輸送量は1700萬バレルで、そのうち8割以上がアジアに輸送された。
イランのハビボラ?サイヤーリ海軍司令官はこのほど、「イラン軍にとってホルムズ海峽の封鎖は、水1杯を飲むよりたやすいこと」などと述べたが、中央黨校國際戦略研究所の馬小軍教授は取材に対し、「無理だろう」とし、「技術面から見て、ホルムズ海峽を封鎖する能力を持っていないし、しかも封鎖すれば、最大の被害者は自分自身である」と述べた。
艦船の積載トン數が少なく、広い水面における數日間の係留が難しいため、イランに艦隊編成でホルムズ海峽を封鎖する能力はないと見られている。しかし、イランに本當に挑発する気があれば、ミサイルや魚雷で原油タンクや西側の戦艦を攻撃したり、小さな船で自殺攻撃をかけたりすることも可能だ。だが、バーレーンに駐屯している米國の第5艦隊が近くにあるため、こうした攻撃も実に容易ではない。馬小軍教授は、「米國はペルシア灣諸國の原油輸送の安全維持に力を惜しまないだろう。近ごろ、米國がペルシア灣諸國への武器販売を急いでいることが、それを証明している」と語った。
馬小軍教授は、ホルムズ海峽の最大の受益者は実にイラン自身だと分析。原油はイラン経済の要であると同時に、イランはEUの5番目の原油供給國、中國、日本、韓國などのアジア諸國の主要輸入先である。ホルムズ海峽を封鎖すれば、自身の原油輸出を斷ち切ることになる。
「海峽危機」は中國をも大きく脅かす