■「カンボジアに圧力」との指摘は「愚か」
カンボジア協力平和研究所のチェーン?ヴァナリット専務理事は「『宣言』調印から10年、中國は一貫して辛抱強さを保ち、『宣言』実行の約束を守ってきた。この10年間、南中國海で大きな軍事衝突は起きていない」と指摘する。
中國とカンボジアは先日調印した「共同聲明」で、中國とASEANが引き続き「宣言」の趣旨と精神に従い、「ガイドライン」など既存の各取り決めの効果を十分に発揮し、「宣言」の全面的な実行を促し、年內に開催する「『宣言』調印10周年記念シンポジウム」を成功させるべきとの考えで一致。南中國海での実務協力を力強く推進し、南中國海の平和と安定を共同で守り、南中國海を中國とASEANにとって平和の海、友情の海、協力の海とする方針を表明した。
チェーン?ヴァナリット専務理事は「行動規範の成立は地域の平和?安定を保証する重要な一歩だ。だが行動規範を主権係爭の解決に利用すべきではない」と指摘する。首脳會議閉會後の記者會見でカンボジアのフン?セン首相は「最近聞かれるデマについて非常に遺憾に思う。カンボジアが圧力を受けているとの指摘は愚かだ。他の國と異なり、中國はこれまで(干渉)したことはない」と明確に述べた。
フン?セン首相は「南中國海問題は域外の國に指図されるのではなく、域內の國によって解決されるべきだ。ASEANの一部の國の動きは事実上、行動宣言の精神を否定するもので、ASEANから出て行こうとするものだ」と強調した。評論家からは「ASEAN諸國は南中國海問題の平和的解決について、成果を急ぐのではなく、『宣言』とガイドラインに沿って秩序良く進めるべきだということをよくわかっている。さもなくば、地域の発展の大きな方向性が妨げられ、地域の平和と安定に影響が生じるだろう」との聲が上がる。
ASEAN10カ國中、南中國海で中國と主権係爭を抱えるのはフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイの4カ國のみだ。マレーシア海事研究所のマーク?バレンシア客員研究員は「中國とASEANは現在、南中國海における行動規範について協議中だ。皮肉なのは、米國の支持が行動規範の合意をより難しくしているということだ。ASEANの一部の國が『自信』を強め、以前はあり得なかったハイリスクな行動に出ているからだ。米國の政策が地域の圧力を高め、緊張をもたらした」と指摘する。
「人民網日本語版」2012年4月5日