見識ある人が見れば、こうした「バランス」の中で米國がアジアをパフォーマンスの場に変え、武力を誇示し、軍事的プレゼンスの持続的強化を特徴とする「リバランス」によって、地域の既存のバランスを打ち破ろうとしていることは明らかだ。
実はこうした「バランス」以外に、米國はもう1つの「リバランス」を検討する必要がある。軍拡とアジアとの経済?貿易関係の強化との間の矛盾だ。緊縮財政の歐州やその他の地域と比べ、アジア経済は勢いよく発展している、最も活力ある成長地域だ。米國はアジア地域への輸出を拡大し、國內雇用を創出し、アジア経済の成長による利益を共有できるよう、対外経済?貿易戦略におけるアジアの位置づけの引き上げを差し迫って必要としている。アジア地域ですでに滅んだ過去のものを甦らせ、緊張を作り上げることが、米國の「輸出倍増」計畫にマイナスであることは明らかだ。だが実際には、覇権を目標とする軍事指向の「リバランス」は、この地域の過去30年余りの平和と安定、アジア各國間の相互信頼や相互利益を侵蝕し、アジア太平洋に「再度の緊張」「一層の緊張」をもたらす可能性が極めて高い。
米國にとって中國は、アジア太平洋において避けることのできない話題だ。パネッタ長官は「アジア太平洋地域の安定のカギは米中両軍が共に安全保障の責任を擔い、アジア太平洋と世界の平和を促進することにある。中國と防衛協力を強化し、新たな時代を切り開きたい」と述べた。われわれはその言葉以上に、行動を注視する。
中米がアジア太平洋でどうつき合うかは、中米両國民の幸福、そしてそれ以上にアジア太平洋の平和と繁栄に関わってくる。中米は「リバランス」によって相手國、アジア、世界との「バランス」を図るのではなく、アジア太平洋地域に「責任ある公共財」を提供すべきだ。「リバランス」の落とし穴にはまれば、元々穏やかでないアジア太平洋に面倒を増やし、自らの利益も損なうだろう。
「人民網日本語版」2012年6月4日