■「両超大國」構造が姿を現わし始めた
ソ連崩壊後、人々は「一極世界」と「多極化」という2種類の見解に慣れるようになった。「一極世界」とは唯一の超大國としての米國の地位を変える大國は一世代の間は出てこないとの見解で、「多極化」とは予見可能な未來において米國と並び超大國となる大國が少なくとも2つでてくるとの見解だ。だがロンドン五輪のメダル獲得ランキングは、「一極世界」も「多極化」も現在の國際パワーバランスの変化の趨勢を反映していないことを告げている。
米國は唯一の超大國ではなくなる。昨年3月にUSAトゥデイはロンドン五輪の金メダル獲得數トップは中米間の爭いになると予測。その後の世界の各メディアの予測も、全て似た結果となった。問題はこうした予測が正確か否かではなく、なぜ國際社會が中國は米國と金メダル獲得數でトップを爭う実力を備えていると一様に考えたかにある。メディアは一様に、今回の中米のメダル爭いを米ソの覇権爭いに喩えている。中國は米國に取って代わって世界最大の貿易國、世界最大の自動車消費國となり、そして世界第2の軍事費支出國、米國にとって最大の債権國ともなった。各分野で次々に米國を追い抜き世界首位になる狀況下で、われわれが米國に「中國は米國に挑戦しない」と言っても、米國人は「実力を隠し、力を蓄えて好機を待つ」中國の戦略への恐れを募らせるだけだ。
中國以外に米國との実力の格差を縮小できる大國はない。2008年以降、中國以外の大國はみな米國との格差が拡大している。米國の経済成長率は他の先進國を上回る。米國はGDPの絶対成長値で中國以外の新興國を上回ってもいる。これはロンドン五輪の金メダル獲得數で米國と他の大國との格差が拡大した趨勢にちょうど似ている。前回北京五輪と比べてロシアとは9個、ドイツとは15個、フランスとは6個、日本とは12個分格差が拡大したのだ。米國との格差が拡大しなかったのは、主催國の強みがあった英國のみだ。國力の観點に立つと、この格差拡大の主たる原因は米國の実力の成長が加速したからではなく、他の大國の実力の成長が米國と比べて遅い、または停滯しているからだ。
相対的沒落の原理は同様に、両超大國構造の趨勢が出現した理由の説明にもなる。先進國の実力の成長の緩慢さは、中國の実力の急成長の効果を突出させ、2008年には「臺頭させられる中國」との表現が現れた。中米両國の実力の格差が急速に縮小する一方で、中米両國と他の大國との格差は拡大している。これは國際構造の二極化の可能性が高まっていることを意味する。ロンドン五輪の金メダルランキングは、二極化の到來を予告しているかのようだ。主催國としての強みがある英國はさておき、殘りの大國のうち20個以上の金メダルを獲得したのはロシアだけなのだ。