このほど開かれた米空軍の演習「レッドフラッグ」には、F-35戦闘機が初參加し、第3世代戦闘機などからなる仮想敵との空中戦で、撃墜対被撃墜比率15:1という驚くべき戦果を記録した。米軍F-35ステルス戦闘機はこれまで、価格の予算オーバーや引き渡しの遅れなどで、各者の批判をしばしば浴びてきた。今回の戦果は再現可能なものなのだろうか。米國はなぜこの時期に、F-35の威力を喧伝しているのだろうか。こうした話題をめぐって、軍事ウォッチャーの徐勇凌氏を訪ねた。
F-35の戦果は「水増し」?
米國メディアの報道によると、今回F-35に相対した仮裝敵は、第3世代戦闘機のF-16が中心で、各種の妨害裝置や先進的な地対空ミサイルも配備された。F-35は、F-22と電子戦機「グラウラー」(EA-18G)と共同作戦を展開した。軍事ウォッチャーの徐勇凌氏は、技術的な視點から言えば、F-35の今回の戦果には水増しも見られる。
F-16でもしもA/B型が使われたのだとすれば、これらの機種はすでに淘汰された狀態にある。米軍で現在使われているはずのC/D型は、射撃管制裝置を含む電子戦系統がアップグレードされ、1990年代末の電子裝置と武器の狀態にあると考えられる。一方のF-35戦闘機は、米國と同盟國との共同作戦における汎用機であり、航空電子や電子戦裝置、武器などには工夫がこらされ、テスト飛行開始からも15年が経過し、比較的高いシステム統合性が実現されている。今回の演習「レッドフラッグ」では、F-16側は、大規模作戦の形式を取り、多數の戦闘機を使った作戦を展開した。F-35側は、F-22と「グラウラー」とともに連合チームを形成し、2種類の第4世代戦闘機と21世紀最先端の電子戦機「グラウラー」(EA-18)による作戦を展開した。
EA-18は、電子戦という視點から言えば、世界最高の性能を誇る。「プラウラー」(EA-6)などの初期の電子戦機と比べると、その作戦能力は飛躍的に上昇している。バンドの切り替えの可能なフルスペクトラムの電子戦裝置を備え、敵の捕捉と正確な妨害が可能である。フルスペクトラムの妨害が可能で、敵に対する電子カバー率はほぼ100%に達する。F-16は、150km以上のレベルに達する優れたレーダーを持ち、ミサイルの射程も120kmに達する。だがこのような空対空の遠距離見通し外(BLOS)攻撃ミサイルは、F-35とEA-18の連合した電子戦能力を誇るチームを前にしては、ほぼ盲人も同然である。そのため今回の作戦での撃墜対被撃墜比率は當然のものと言える。