北京の南にある天壇は中國に現存する最大の祭祀用建築物群である。內壇と外壇に分かれ、主な建築物は內壇で、祭祀の行事は主に內壇で行われる。南には圜丘、北には祈年殿がある。真中は「神道」と呼ばれる高くて幅の広い石を敷き詰めた道。天壇の南側は四角形、北側は円形を呈しており、昔の中國人の、天は円形で地は四角形という宇宙に対する考え方を象徴するものである。天壇の中で最も雄大な建築物は五穀豊穰を祈る本殿の祈年殿で、丸くて白い3重の土臺の上に、頂上部にはかわらが葺かれ、金めっきを
施された3階建ての宮殿が高く聳え立っている。本殿の中には珠と戯れている竜の図案が精緻に彫られており、地面の真中にある大理石もそれと呼応しているようである。竜が珠と戯れている図案は、天人合一哲學思想を象徴するものである。圜丘が南側にあり、これは皇帝が冬至の日に天を祭る所で、「拝天臺」とも呼ばれる。天壇は丸くて天を象徴するものであり、3重に分かれ、それぞれに嵌め込まれている石塊や周りの板、階段の數はみんな9の倍數となっており、天は9重であることを象徴している。真中には「天心石」と呼ばれる丸い石板があり、その上に立って大聲で話をすると、はっきりと聞こえるこだまが即座に跳ね返ってくる。圜丘の北にある皇穹宇は位牌を置く場所である。丸い本殿と東西両側の建物は丸い壁に囲まれ、壁の內側はなめらかで、聲がそれに沿って伝わることができるので、「回音壁」と呼ばれ、天壇の奇異な景観となっている。これらの主要な建築物のほかに、斎宮(皇帝が天を祭る前に沐浴して、精進料理を食べて泊まる所)、皇乾殿(祈穀壇のためにお経を祭る所)、神楽署、燔柴爐、具服臺、宰牲亭、神廚などの付屬建築物もたくさんある。1998年にユネスコの『世界の文化遺産』に登録された。
「チャイナネット」2004年12月