トヨタ中國は経営トップの交替を斷行し、2009年の中國自動車市場の長い旅路を開始した。今回の調整の対象となったのは、トヨタ中國本部部長、トヨタ本部中國室室長および獨立管理のレクサス業務責任者など重役。トヨタ中國が経営立て直しを図ろうとしているのが伺える。こういった大きな人事異動は、豊田章男氏の社長就任後初めてのことだろう。トヨタ中國のこれまでの、ゆとりのある、しっかりしたイメージに影響を與えるのは必至だ。
業界內では、今回の人事異動はトヨタ中國が達成できなかった08年の業績に関係があると見ている。トヨタ中國は昨年17%の伸びをみせたが、販売臺數は年初に立てた70萬臺という目標を大きく下回った。「車の販売に長けている」といわれるトヨタでさえ黒字が赤字に転じ、世界の自動車産業は昨年慘憺たる結果に終わった。やや疲れの見える中國エリアも責任が問われる形になったのだろう。
確かに、中國で昨年最も成功を収めたミドル?ハイクラスカーは依然として「カムリ」だったし、「カローラ」もヒットした。しかし、トヨタの戦略車に敵なしという神話には陰りがみられた。昨年発売された「新型ヴィオス」と「ヤリス」(セダン)の売れ行きはさほどでもなかった。特に厚い期待のかかっていた「ヤリス」は慘敗といっていいほどだった。「カムリ」もトップの座は危うく、ホンダ「新アコード」との対決にプレッシャーがかかる。
トヨタは他の日系自動車メーカーと同じように、中國市場の業績にばかり目が行き、技術導入や中國側のパートナーへの技術サポートといった面にさほど関心を向けていない。フォルクスワーゲン(VW)やゼネラル?モーターズ(GM)を代表とするドイツや米國系の自動車メーカーはこれとは違った態度とやり方を採用し、中國國內でより多くの信頼を得ている。このためトヨタは中國に根を下ろすことが出來なければ、「次のステップアップ」は非常に困難だろう。
中國の自動車市場は國の政策によるサポートとけん引があったため、自動車工場と販売代理店は幸先のよいスタートが切れ、今年1月には新車の販売臺數で米國を抜き世界一へと躍進した。中國の自動車市場は國內外の自動車メーカーにとって大いにやりがいのある場所となったのは疑いもない。これまで中心となってきた北米や日本の自動車市場は低迷の色をみせ、トヨタは中國の自動車市場を改めて見直さなければならなくなっている。このため今回の経営トップ交替の背後には、トヨタ中國が今後より大規模な投入を展開し、販売戦略を展開していくねらいが見え隠れする。「統率の交替は刀を換えるようなもの」という言葉があるが、トヨタ中國の息吹が一新されるかどうか、今後の動向に期待したい。
「人民網日本語版」2009年2月20日 |