(二)「著名商標司法解釈」には著名商標の司法認定範囲が明確にされています。
司法実踐には、著名商標の認定につき、従來「需要に応じる原則」が強調され、事件審理に従い、必要となるなら認定し、必要ではないなら人民法院が積極的に著名商標を認定してくないということであります。
「著名商標司法解釈」第二條には、著名商標の認定が必要となる民事案件の類型につき規定されています。司法解釈第三條には、著名商標の認定が必要ではない情況についても規定されています。この二つの條文は、異なる角度で著名商標の司法認定の範囲につき規定しており、主に著名商標を認定する必要があるのは何か、著名商標を認定する必要がない、または認定することができないのは何かにつき規定しております。以前、各レーベルの人民法院における不一致的な認識および措置を統一することはその狙いだと考えます。
「著名商標司法解釈」第二條によれば、以下の三つの情況の下で、著名商標を認定することができます。
A 異なる商品類型における著名登録商標の保護に関わる案件を審理する場合
B 未登録著名商標の侵害行為の差止めを請求する案件
C 企業の名稱が著名商標との衝突に関わる商標権侵害案件および不正當競爭民事紛爭案件
「著名商標司法解釈」第三條によれば、商標権侵害または不正當競爭行為の成立は、商標が著名かどうかを事実根拠としない場合、または商標権侵害または不正當競爭行為は法律により規定されるその他の侵害要件の欠陥により成立にならない場合、著名商標を認定しないということであります。つまり、著名商標を認定する必要がない場合および不法行為そのものにならない場合、人民法院が著名商標を認定しません。
ここで、一點だけを強調したいのは以下の通りであります。
「著名商標司法解釈」第三條には、「原告は、被告の登録、使用するドメインが原告の登録商標と同一または類似し、かつ當該ドメインを通じて商品取引の電子商務を行うことにより、関連する公衆に誤認させたことを理由に権利侵害訴訟を提起する場合、著名商標を認定しない」と定められています。
しかし、2001年最高人民法院により公布された「インターネット上のドメイン民事紛爭に関する案件の審理における法律適用の若干問題についての解釈」(以下「ドメイン司法解釈」という)第6條によれば、人民法院がドメイン紛爭案件を審理する際、當事者の請求および案件の具體的な情況に基づき、関連する商標が著名なのかにつき認定することができるということであります。かつ、この「ドメイン司法解釈」を根拠にし、數件の著名商標をすでに認定しました。また、筆者は知っているかぎり、「著名商標司法解釈」草案には、ドメイン紛爭案件を著名商標を認定できる案件類型の一つだとしています。正式的な「著名商標司法解釈」には當該條文が削除されました。それは主に以下の理由に基づくのではないと考えます。
司法実踐により、ドメイン登録および申請は、その費用が低いし、短時間で完成することができます。企業がまず他人の名義でドメインを登録し、その後、これを理由に著名商標の認定を提出したケースはよく見られます。もし、「ドメイン司法解釈」の上記規定を引続き用い、多數の商標を著名商標として認定するならば、著名商標認定の趣旨に著しく違反しています。実は、関連法律法規に基づき、原告の登録商標が一定の著名度を有する限り、被告が同一または類似するドメインを登録、使用するなら、かつ関連する公衆に誤認させた場合、商標権侵害または不正當競爭を認定することができます。これにより、原告の権利が司法救済を貰うことができるため、著名商標の認定を前提條件とする必要がありません。したがって、最高人民法院は、ドメイン紛爭案件が著名商標認定の類型案件ではないと考えます。
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