左小蕾氏は次のように話す。人民元の価値が過小評価されているという証拠はどこにもない。この過小評価説は以前に誰かがシュミレーションモデルを利用して出した結果である。シュミレーションモデルで出されたものは論文として発表するのは構わないが、政策決定の決定的要素としてはいけない。シュミレーションモデルで出された結果を根拠に人民元切り上げを要求することは非常にでたらめなやり方である。すべてのシュミレーションモデルは一定の理論的仮説に基づくものである。グローバル化が進む中で、世界の経済構造や中國の発展など多くの要素が國際貿易を全面的に変えているため、それまでの仮説はどれも成立しなくなっており、もう一度結論を出す必要がある。
人民元切り上げは米國の対中貿易赤字の解決の助けとならないことがすでに証明されている。2005年7月の人民元切り上げ後、人民元の対ドルレートは21%上昇したが、中國の輸出超過額は増加している。
中國商務部の陳徳銘部長は、「中國発展ハイレベルフォーラム2010年」の席上で、「中國の貿易黒字は主に米國に対してで、その原因は米國が中國に対してだけ厳しい輸出制限を設けているからだ」と述べた。
また、「米國は中國への輸出を増やせば米國経済が大幅に回復することをよくわかっているが、輸出を規制しているため、數百億の商品が輸出できないでいる。本來、今年は大規模な調達団を米國に數回派遣しようとしていたが、企業家が買い付けたいものの中には、現在までのところ米國が中國に売りたくないものが含まれている」と語った。
左小蕾氏は次のように考える。中國と米國は貿易構造において相互補完性がある。中國の対米輸出商品は主に付加価値の低い商品で、人民元が切り上がっても米國が優位に立つことはない。そのため、輸出超過を解決することはできない。