民間の富が蓄積され、海外との交流が活発化するのに伴い、中國では新たな移民ブームが沸き起こっている。今回の移民ブームは、過去數回の海外移民ブームとは移民者の出身地や層は異なるものの、中國のイメージアップや國際影響力の強化の面では、同じくプラスの役割を果たしている。
投資移民ブームを後押しする2つの要因
2000年から04年にかけては、各國の移民政策の引き締めとSARSの蔓延により、中國の海外移民は全體的に下火になった。しかし06年からは、次から次へと押し寄せる中國ニーズが移民大國の投資を推進し、ビジネス関係の移民業務は力強い伸びを見せている。
米國土安全保障省によると、07~09年、中國本土籍で米國に移住(永住権を取得)した者の総數には大きな変化は見られなかったものの、投資目的の移民の數は急増。09年、米國が発給した中國本土籍の投資移民ビザは1971件、同年の投資移民ビザ総數の53%を占めた。また、08年の投資移民ビザ総數(1360件)の1.45倍だったという。
05年から米國への投資移民業務を開始した上海中智國際商務発展有限公司の王紅副総経理は、ここ數年の業務量は右肩上がりだと話す。09年には米國側の審査周期が長くなったと感じたが、これは中國からの移民申請が増えたことを物語っている。
北京、上海、広東などの移民仲介業者によると、08年にカナダが発給した投資移民ビザは1萬件を超え、04年より6割増加。このうち70%が中國本土籍であったという。また、ここ數年、オーストラリアのビジネス移民ビザの発給枠は毎年3500人であるが、中國からの申請は約2000人に達している。
中國の投資移民ブームを後押ししている主な要因は次の2つである。1つは、國內のエネルギー、不動産、株式市場によって民営企業が大きく発展し、民間の富が急速に蓄積されたために、中國人にとって投資移民申請の敷居が低くなっていること。もう1つは、金融危機によって各國が投資移民政策を大いに緩和したこと。例えば米政府は、銀行の資金不足に対処するために、グリーンカードによって米國の投資プロジェクトへの外國人の直接參加を引き付ける計畫をスタートさせた。現在、北京で活発に行われている米國への投資移民プロジェクトだけでも100近くにおよぶ。