中國共産黨創立90周年を迎える今年、米國の世界最大の工業國としての地位は、中國に取って代わられた。経済學的に大きな転換點となったこの出來事は、軍事面ではどのような影響をおよぼすのであろうか?
米誌「foreign policy」に、先だって、米研究者デンマーク氏の評論文が掲載された。それによると、中國が世界一の製造大國となったからといって、米軍事力が大きく影響される訳ではないというものだ。その理由として、中國の國防技術水準は確かに上昇してはいるものの、米國と比べるとはるかに劣っており、おいそれと追い抜けるはずがないからだ。中國軍は相変わらず「品質の不足は數で補う」方策を採っているに過ぎない。
デンマーク氏の考えに同意する人は多いだろう。だが、彼とは異なる意見や根拠を探すことも難しいことではない。
世界一を獨走してきた米國の製造業は、1970年代から翳りを見せ始めた。 競爭力を失くし次々に生産ライン閉鎖に追い込まれた、不況の震源地とも言われるデトロイトの自動車製造産業が、第二次世界大戦において戦車の量産を手掛けたような、當時の旺盛期を取り戻すことが出來るなど誰が斷定できよう?
また、中國の製造技術の進歩は、軍事兵器の研究開発および機能向上にとって果たす役割は、過小評価されるかもしれない。中國製最新ステルス戦闘機「殲(J)-20」の開発スピードに世界が目を見張ったのは記憶に新しい。しかも「殲(J)-20」の試作機は1機でなく2機あったことは、この戦闘機の性能安定性を模索する上で大きな作用をもたらすことになる。ジェットエンジンは、最高レベルの軍事技術を駆使するものである。これに関しては、中國の技術水準は先進諸國とはまだ大きくかけ離れており、中國がそのレベルに達するには、あと15~20年はかかると思われていた。だが今年、中國航空工業集団公司の林左鳴総経理は公式の場で、「中國製の航空用エンジンは、5年後には実裝可能なレベルになる」と述べている。中國の軍需産業部門が、始終慎重な言動をすることを考えると、その言葉は決して口から出まかせと言う訳ではなさそうだ。