手の施しようのなくなった米國の政治家たちは近ごろ、その失策を中國のせいにしようとしている。大統領選を控え、共和黨の候補者たちは相次いで中國を話題にし、世間を騒がせた。これを受け、オバマ大統領もついに中國に対する一般的な指摘や批判をエスカーレートさせ、米國の経済問題の責任を自分自身でなく、遙か太平洋の向こう側の中國になすりつけようとしている。大統領候補者たちは競って中國を批判し、中國に強硬姿勢を示すことによって票を集めたい考えだ。
「中國の労働者たちが米國人の雇用を奪った」というのは、一部の米國の政治家がよく公衆に言い聞かせる言葉だ。この見方について、専門家たちに意見を聞いた。
バブル崩壊で雇用が激減
高い失業率は米國政府や社會の巨大な負擔となっている。ここ2年來、米國の失業率は9%以上の高水準で推移し、昨年は9%で前年より0.6ポイント低下した。失業人口は1439萬人から1310萬人に130萬人減少した。最新のデータによると、今年1月の米國の失業率はここ3年で最も低い8.3%まで低下した。
実際、ここ十數年、米國の労働力市場は従來の活発で柔軟な內的メカニズムを失いつつある。その原因について、次の點が挙げられる。まず、米國の構造的な失業問題が長期にわたって存在していることだ。BRICs諸國をはじめとする新興工業國が徐々に世界の経済システムに溶け込むのに伴い、米國は世界範囲での資源配置の効果やより高い競爭力を追求するため、業務のアウトソーシングや海外移転を加速させた。そのうえ、米國は長期にわたって緩和的な金融政策や消費刺激政策を実施し、新興國の安価で良品質の商品を絶えず輸入してきた。ところが、リストラされた労働者に働き口を提供できる米國の新興産業の規模はそれほど大きくないため、構造的な失業が生じた。もう一つは、不動産バブルの崩壊が失業率の上昇に直接つながった。好景気だった時期、不動産業は雇用創出に大きな役割を果たしたが、金融危機の影響でバブルが崩壊した後、雇用も激減した。また、情報化とグローバル化も企業のポスト削減やリストラに拍車をかけた。
自國の経済問題を振り返るべき
米國の高い失業率の原因は、仮想経済の崩壊や債務危機だと専門家たちは見ている。
サブプライムローン問題に端を発した金融危機は、米國の失業率の上昇に直接つながった。2002年から2008年まで、米國の失業率は4.5%-6.0%の間で安定していたが、危機の影響で、2009年5月の新規失業者數は34萬5000人、失業率は9.4%に急上昇し、ここ25年で最悪となった。
國務院発展研究センター學術委員會の呉敬レン氏は、「低すぎる貯蓄率と高すぎる消費率が米國経済の根本的な問題」と指摘。金融システムにおいて、米國のすべてのデリバティブは総額400兆から500兆ドルである。それが原因で、世界金融システムの中にバブルが溢れ、企業の貸借対照表のレバレッジ比率が軒並み高くなった。資産は債務と資本からなるが、膨大な資産があっても実際は債務が多く含まれ、自己資本はごくわずかである。そのため、レバレッジ比率が非常に高く、仮想の紙面上の財産が大きいのに対し、それ相応の物的財産はない。仮想資産がバブルを招き、バブル崩壊で不景気になり、失業率が上昇したのである。
米國は自國経済の弊害を振り返り、構造的な問題を解決すべきで、それこそが雇用危機の正しい解決策である。中國を話題にして國內の矛盾を移し、國民の注意をそらすやり方は、アンバランスな心理狀態にあり長い目で見ていないことを示し、無駄な努力である。