ここで、日本のみなさんであれば「?」と思うかもしれません。そもそも「計畫」そのものにビジネスモデル(テーマについてのビジネスの成功のための要素)が組み込まれているのではないか、と考えられるとおもいますが、これは中國と日本は異なっているところと思われます。中國での「計畫」は、より言葉を正しく言い直せば、「行政許認可+一部公共事業入札開始」といえるようなものです。ですから、日本の「ビジネスモデル計畫(民間が主體)」→「行政許認可(単純に手続き上のプロセス)」→「資本調達?資金投下」という流れとは順序が異なり、中國では往々にして「行政許認可(許認可を出す政府自體が、多義の経済的動機のために実施したいので、厳密に言えば許認可と言っているが、計畫主體のひとつでもある)」→「資本調達?資金投下」→「ビジネスモデル計畫(相対的に軽視される。あとは野となれ山となれ???というか、必ずうまく行くと信じられている。)」です。日本は「先にビジネスモデルが必須」で、中國では「先に行政許認可が必須」という雙方の都市計畫プロセスがわからなければ、日本人からすると中國のこの流れに「??」ばかりのものでありますね。
というわけで、広東動漫城は167ヘクタールの広大な敷地に、100億人民元の資金がすでに投下されています、そしてなんと(!!)、「なんとな~く」のアニメ関連ビジネスモデルは考えられているものの、基本的には「入ってきたアニメ関係企業さんが勝手にビジネスモデルをつくってもらうことにおまかせしまーす」というもの。う~む、これは日本人的発想からすると「不思議???」と映るに違いありません!(そもそも、産業製品の生産供給地たる工業団地と、一般消費者向けのサービス提供地たるテーマパークの概念が、盲目的に混ざって考えられているところも、少し修正が必要なアイディアです。)
ちなみに、研究者としての僕の見解を申せば、広東動漫城は広州という交通アクセスの良い場所に立地しており、政府支援(開幕式には中央政府の広電総局のトップも參列していた)があり、すでにハードインフラが整いつつある場所でありますので、「しっかりと」ビジネスモデルをいまか考えれば、老朽化?陳腐化する前に軌道に乗せることは可能かと思っています(潛在的競合などが未考慮で、焦りや危機意識が開発主體に薄いのが怖いところでありますが)。一応いくつかの日本企業も入っていますが、産業集積のメリットが発揮される條件はまだ満たしていないので、広東動漫城の意思決定層が、果たしてこれからどのように舵取りされていくのか気になるところです(せっかくなので、先方に意見書をだしてみようと思っています)。
中國全土に広がるアニメをテーマにした「計畫」、そしてその僅かな割合で実際に「計畫」に資金が投下された地域、その中では、広東動漫城は有力な例でありますので、これからも注意して観察していきたいと思います。とても暑かった開幕式ですが、いろいろと具體的な問題點も現地観察できて楽しかったです。
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
?中國網日本語版(チャイナネット)? 2012年7月3日