前新華社東京支局局長 冮冶
長いあいだ連絡のなかった同級生が電話をくれた。これは攜帯電話がまだ今のように普及していない頃の東京での話で、今も記憶に新しい。
その同級生は日本で働いていて、電話では互いに卒業後の様子について大いに盛り上がった。しかしこの同級生はほどなくして、テレホンカードがもうすぐなくなるから自分のオフィスに掛け直してくれないかと言う。
その時、私は何だか腑に落ちず、會社にいるのになぜテレホンカードを使って電話をしているのかと聞いてみた。するとその同級生は、さっきは會社の階下の公衆電話からで、仕事中はオフィスから私用電話はできないと説明し、外から掛かってくる電話は別だと言った。
みんなが一心に仕事に勵んでいる時、突然、業務と関係のない言葉が飛び出すのは確かに聞き苦しい。多くの會社の通路などには、そこで働く人たちの私的な電話や、來客の人に便利なように公衆電話が設置されていた。攜帯が広く使われるようになった今では、人によっては會社が支給した業務用の攜帯と、個人の攜帯の2臺を持ち、會社と個人をはっきり分けている。
ひと目で分かる日本人
新幹線を待つ乗客
以前、支社の若い記者が、新幹線の乗客の中で誰が日本人かを一目で見分けることができると言ったことがある。その若い記者によると、日本人は一般的に幾帳面で、手にしている持ち物をみだりに置かず、足元に置くか、ひざの上に乗せるか、さもなくば頭上の網棚に乗せ、そばの椅子に置く人はとても少ないという。
またある若い女性記者からこんな話を聞いた。ある橫斷報道で信號が青になるのを待っていた時のことだ。車は走っていなかった。そんな中を2人の女性が大手を振って赤信號を渡った。話がここまでならどうということはない。面白いのは、この2人の女性が赤信號を渡る時に中國語で「思い切って前に進もう」と歌い、もう一方の橫斷歩道で信號待ちをしていた人がふいに「前に進もう」と一緒に聲を合わせてこの2人を赤面させた。これを聞けば、赤信號を渡っていたのが日本人ではないことはすぐ分かる。
日本人は、手すりやガードレールを越えるようなその場にふさわしくないことはほとんどしない。小さい頃から父母や教師から人に迷惑をかけてはいけないと教育されてきたからだろう。公共の場所で日本人が大きな聲で騒ぐことも少ない。
自らを律しなかった結果
こんな報道があった。ある2人の中學生が攜帯電話で友達にメールを送ろうとしたら充電が切れ、近くのコンビニの屋外にあるコンセントで充電していたところ竊盜の容疑で警察官に摘発された。
報道では、この中學生が充電したのは約15分で、消費電力は1.5ワット、電気代にすれば1円だ。地元の警察は、犯罪は額の大小ではなく、日本の刑法では電気も財物に屬すると説明している。
パソコンや攜帯電話などの電気器具を攜帯することが多くなり、日本の空港の搭乗待合室や新幹線などの一部の公共の場所でも電源が設置されるようになった。しかしこのような特定の場所以外でこうした設備や電源を使う場合には、必ず聲をかけて同意をもとめる必要があり、費用を払わなければならない時には払い、うっかりして面倒なことになるのを避けている。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2010年5月13日