資料寫真:日本のスーパーの食糧コーナー
そのスーパーに太郎と酒を買いに行った時のことだ。私がその28円カップ麺を見に行こうとすると、太郎が「特売品はすぐに売れ切れになることがある」と言うのだ。その言葉に私は「本當にあるのかよ」と思いながら、ドアを開けた。すると、入口のところに大きな段ボールが置かれており、中にカップ麺が山積みになっていた。太郎は私を振り返って笑いながら「あれだよ」と言う。見てみると、どれも日本で有名なカップ麺だ。値札シールを見るとやはり28円になっている。まさかニセモノ?食ったら食中毒にならないだろうか?と心配になったが、日本製のカップ麺であることは確かだし、こんなに堂々と売られているのだから大丈夫だろう、と思い直した。
そう思った途端、私はニヤニヤしてしまった。食事1回毎にカップ麺3個を食べたとしても、たった74円だ。6元にもならない。しかも住むところはタダだし、明日から働くことになっているから、稼いだ分金も入ってくる。そうすれば、徳之島でどれだけ長く住もうとも何の問題もない。旅先で財布の中身を心配しなくてもいいとは何と素晴らしいことだろう!
部屋に戻ると、太郎が持參したカセットコンロで水を沸かし、カップ麺を食べた。カップ麺は特に変な味はせず、美味しく食べられた。太郎はカップ麺を食べながら、日本の若者についてとやかく言う。太郎の言う「若者」とは何歳あたりを指すのだろう?太郎はまだ30歳だ。その太郎が自分のことを若者だと思っていないのなら、28歳になる自分ももう若者ではないのだろう。
「不景気で就職先がないって日本の若者は言うけど、何で就職先が見つからないのか全然分からないなあ。俺は東京からここに來たけど、何とか暮らして行けているのに」とカップ麺をすすりながら太郎は言う。