▽私が作品で「愛と死」を表現しなければ、一體何を表現するのですか?
新京報:「ヴァンパイア」で再び「自殺」というテーマが取り上げられましたが、監督の「死」に対する考え方をお聞かせ下さい。
巖井:「ヴァンパイア」は表面上はホラー映畫ですが、やはり「純愛」をテーマにしています。私が「愛と死」を取り上げないなら、何をテーマに映畫を作るんだという話になるでしょう?若い頃は「死」について考えることなどありませんでした。しかし今は40歳を過ぎて、死との距離が段々と近づき、この避けて通ることのできない問題を直視するようになりました。自殺をする人は、理解されがたく、受け入れられないものです。日本の自殺率は高いにもかかわらず、あまり多くは語られません。日本人には今後この話題にもっと関心を持ってほしいですね。
新京報:日本の映畫界の現狀に対する監督の考え方を教えて下さい。ハリウッド映畫の脅威が大きいと感じておられますか?
巖井:日本の映畫は以前と比べると確かにやや落ち込んでいます。ハリウッド映畫のほか、米國のドラマも日本の映畫業界にとって脅威となっています。だから日本の業界関係者はさらに努力しないとだめですね。そうでないと先が見えなくなる。
新京報:監督の作品が、陳果監督をはじめとする多くの若い中國人映畫監督に大きな影響を及ぼしていることはご存知ですか?
巖井:(はにかみながら)多少耳にしています。陳果監督とは一緒に食事をしたことがあります。私もそんな立派な人間ではなく、皆さんと同じく成長途上にあります。これからも良い映畫をお屆けできればと思っています。