巖手県遠(yuǎn)野市は「民話の里」という美しい異名を持っている。「市」といっても、市の中心に高層ビルなどは見られず、大きな村落のようなところだ。本田敏秋市長が、遠(yuǎn)野市の人口は3萬人弱、面積は826平方キロメートルと紹介してくれた。大震災(zāi)の後、この小さな町は、當(dāng)?shù)丐獗粸?zāi)しながらも救災(zāi)支援基地として大きな役割を果たした。

3月11日14時46分に大地震が発生し、その14分後には遠(yuǎn)野市は救災(zāi)體制に入った。本田敏秋市長は市役所前の広場にテントを立て、災(zāi)害対策本部を設(shè)置した。同時に遠(yuǎn)野市総合運動公園を救助ヘリのヘリポートとして開放し、市內(nèi)に50か所の避難所を設(shè)けた。15時15分、市役所から全市民対して避難指示が出され、各地區(qū)に救援人員が派遣された。全市が停電、通信も遮斷される中、遠(yuǎn)野市は市內(nèi)放送と非常用発電機を使って速やかに被災(zāi)者を避難場所まで誘導(dǎo)した。市內(nèi)の各病院は迅速に負(fù)傷者受入れの準(zhǔn)備を整えた。

3月12日午前1時40分、遠(yuǎn)野市から50㎞あまり離れた大槌町から被災(zāi)者が助けを求めてやってきた。3時間後、緊急用の食糧、毛布、水、燈油を積み込んだ車が大槌町へ向け出発した。その後も遠(yuǎn)野市は、釜石市など県內(nèi)の被害の大きい地域に向けて次々に救援物資や人員を派遣した。

救援活動の間、遠(yuǎn)野市は、救援に入った自衛(wèi)隊や警察、消防や醫(yī)療関係者、ボランティアなど250余りの団體に対し、市民活動センターなど144の施設(shè)を開放し、民間の宿泊施設(shè)も提供した。

遠(yuǎn)野市が大震災(zāi)後、このような迅速な対応ができた背景には、2007年に沿海地區(qū)防災(zāi)支援基地構(gòu)想を策定していたことがある。この構(gòu)想をもとに十分な準(zhǔn)備をし、何度も大規(guī)模な防災(zāi)訓(xùn)練を行っていたため、町の人々には防災(zāi)意識が深く根付いていた。

遠(yuǎn)野市は巖手県の東南部に位置し、內(nèi)陸の町と沿海地區(qū)の町のどちらにも國道でつながっていて、救助ヘリはたったの15分でそれらの町に行くことができる。また、遠(yuǎn)野市の地層は花崗巖に屬し、自然災(zāi)害に耐える力が比較的強い。これらの地理的條件、道路網(wǎng)、地質(zhì)的特性から、遠(yuǎn)野市は救災(zāi)支援基地にふさわしいのだと本田市長が紹介してくれた。

大震災(zāi)の発生後、遠(yuǎn)野市では市民を中心としたボランティアが食べ物の用意と救援物資の仕分け、沿海地區(qū)への輸送を行った。遠(yuǎn)野市の多くのボランティア団體が「遠(yuǎn)野まごころネット」という組織を立ち上げ、日本各地からのボランティアを受け入れた。遠(yuǎn)野まごころネットでは、避難所で被災(zāi)者の情報を収集し、ボランティア派遣の調(diào)整や、ボランティアに必要な心得の指導(dǎo)などを行っている。

遠(yuǎn)野市役所は「遠(yuǎn)野災(zāi)害ボランティア支援センター」を設(shè)立し、遠(yuǎn)野市で活動するボランティアや遠(yuǎn)野市を通過するボランティアに休憩場所を提供し、ボランティア団體の情報交換を助けている。

遠(yuǎn)野市の経験は、大規(guī)模な自然災(zāi)害が発生した際に被害の比較的少ない近隣の地域が大きな力を発揮することを示している。「遠(yuǎn)野モデル」は日本全國の注目を集め、多くの主力メディアでその経験が紹介されている。

「中國網(wǎng)日本語版（チャイナネット）」2011年9月18日