ソニーとパナソニックが、次世代テレビの共同開発で提攜を模索していることが明らかになった。次世代テレビとは、有機ELというディスプレイを使った極薄のテレビのことで、実現すれば、韓國企業にシェアを奪われ苦境に陥っている日本の電機産業の転換點となりそうだ。有機ELとは「エレクトロ?ルミネッセンス」の略稱で、液晶、プラズマなど現行薄型テレビのパネルよりも、高精細で消費電力が少なく、応答速度が速いという特長がある。また、薄くて軽くやわらかいディスプレイは折り曲げて持ち運ぶこともできるほどで、今までにないテレビの形態が登場しそうだ。
世界を舞臺に、數十年競い合ってきたソニーとパナソニック。この度の提攜が実現すれば主力事業でタッグを組む初のケースとなる。両社は、新製品および新技術の開発を共同で進めることで、大型有機ELテレビの早期量産を実現させ、世界テレビ市場における日本企業のシェアを奪還していく狙いだ。
リスクの高い設備投資への足踏み、新技術の欠如などにより、近年、世界のテレビ市場における日本のメーカのシェアは急速に落ち込み、大幅な赤字に陥っている。また、従來日本企業の後ろにつけていた韓國企業が、新製品、新技術の開発に勤しみ、惜しげもなく設備投資を行なってきた結果、同市場では今や飛ぶ鳥を落とす勢いとなっている。液晶テレビの世界シェアを見ると、ソニーおよびパナソニック2社を合わせても18.4%で、韓國のサムソンおよびLGを合わせたシェア37.5%の半分ほどしかない。先日公表された2011年度の決算によると、ソニー4566億円、パナソニック7721億円の最終(當期)赤字を計上した。両社とも、テレビ事業の不振が響いた結果である。