西園寺一晃氏
2012年度第7回東アジア文化研究會は法政大學で開催された。今回の研究會の講師は西園寺一晃氏で、司會は王敏氏である。
西園寺一晃氏は東京都生まれの研究者、フリーランスジャーナリスト。工學院大學孔子學院院長。元総理大臣で最後の元老として知られる西園寺公望の曾孫にあたる。
王敏氏は、中國の比較文學者、日本文學者。法政大學國際日本學研究所教授。
研究會で西園一晃氏は中日両國の経済について報告を行った。報告の內容は以下のとおり:
現在の中國経済を考える場合のキーワードは「転型」だ。転型とは、経済構造の転換、構造改革のことで、中國経済が今後安定的、持続的発展をする場合不可欠のものとなる。
中國経済はここのところ失速気味だ。この「失速」について見方の違いはある。正に失速後退していると見るのか、それとも高度成長期は過ぎ、安定成長期に入ったと見るかだ。
確かに數字で見る限り、中國経済は下降線をたどっている。2011年第1四半期から今年の第3四半期までの成長率を見ると9.7%→9.5%→9.1%→8.9%→8.2%→7.6%→7.4%となっている。原因は二つ。(1)主要な貿易(特に輸出)相手國であるEU経済の深刻化、米日経済の低迷。(2)中國経済(成長)の構造的欠陥―外需型成長。
中國経済の成長過程を見ると、明らかに2つの段階がある。1979年の改革?開放のスタートから1990年末まで、成長をけん引したのは(1)爆発した購買力(內需)。(2)積極的な固定資産投資(特に沿海ベルト地帯に対する)。(3)成功した輸出振興。(4)外資導入の四つだ。この內最大の要素は內需で、この段階の成長は基本的に「內需型成長」だった。ところが2000年以降は狀況が変わった。內需が相対的に落ち込み、輸出、外資、固定資産投資が成長をけん引した。つまり成長構造が「外需型成長」に変化した。特に輸出は大健闘し、成長けん引の最大の要素となった。その結果、貿易黒字は雪だるまのように増え、今や外貨準備高3兆2000萬ドルで、第2位の日本の1兆4000萬ドルを大きく上回っている。因みにGDPの中に占める內需の割合は、米國70%、日本60%、中國は40%だ。
外需型成長は當然世界経済の浮き沈みの影響を受ける。特に成長をけん引する輸出は、主たる輸出相手國?地域の経済情勢の影響をもろに受ける。中國の主な輸出相手國?地域はEU、米國、アセアン、日本だ。この內EU、米國、日本の経済が落ち込んでいる狀況の中で、中國の輸出が落ち込み、それが成長にマイナス影響を與えるのは當然だ。