『日本における新聞連載子ども漫畫の戦前史』表紙
5月12日付けの朝日新聞に、著名評論家の保阪正康氏が書いた『日本における新聞連載子ども漫畫の戦前史』書評が掲載された。
この本は、日本の同志社大學で博士號を取得し、現在中國人民大學講師を務めている徐園博士の処女作であり、第14回華人學術賞受賞作品である。
保坂氏による「ヒトコマから読む社會の動態」をテーマとした書評は次の通りである。
著者(中國人研究者)は本書の狙いをこの表題を歴史に「刻む」ことと書く。子ども漫畫史から日本社會の動態を問い直すとの姿勢だ。
タテ軸(歴史)とヨコ軸(時代)を明確にするために、明治から東京で発行された主要日刊全國紙8紙全てに目を通し、漫畫のヒトコマずつを分析して、そこにどのような國家の意思、日本人の好みや価値観があらわれていたか、平易に説明している。本文中の各種各様のリスト作成の熱意には圧倒される。
明治35年に北沢楽天によって誕生した子ども漫畫史は、五つの時期に分類される。意外なことに昭和5年から12年までが繁栄期で、漫畫本數は131本と史上最高の數に達した。戦爭期とも重なり、漫畫の主人公は(1)國家の象徴(2)國家のために行動するとの特徴があった。「日の丸ポン吉」のように頬に日の丸がつく少年が主人公だったりする。
大衆のエネルギーに支持された子ども漫畫との結論が新鮮である。
徐園博士は2004年7月に吉林大學日本語學科を卒業、2010年3月に同志社大學大學院社會學研究科メディア學博士號を取得、2010年6月から現在まで中國人民大學外國語學部で講師を勤める。
「華人學術賞」は、日本僑報社が2002年に中日國交正常化30周年を記念し、中國人博士の學術成果を日本社會に広く紹介するために創設した。この10年間で、すでに14人の中國人博士が受賞している。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2013年5月15日