「火爐(かまど)」と呼ばれるほど夏の暑さが厳しいことで有名な湖南省長沙市。7月の猛暑の中、労働集約型の企業で働く張軍良さん(38歳)は、従業員のために作られた休憩ルームで、冷たい飲み物を口にしながら、自分たちの賃金協議について熱心に紹介してくれた。
ホームファブリック製造大手の湖南夢潔家紡有限公司の従業員である張軍良さんは、毎日生産ライン上で忙しく働いている。毎月の賃金は3000元余り。このほかに、ノルマを95%以上達成すると、500元の奨勵金が出る。これはすべて、労働組合が組織した従業員側の代表が企業側と協議した結果、勝ち取ったものだ。
今年5月、同社は年に一度の従業員代表大會を開催した。企業側の代表10人と従業員側の代表10人は協議のうえ、新しい賃金基準を締結した。企業の利益狀況に基づいて、従業員の賃金総額の増加幅を昨年より13%アップさせたのである。
賃金に関して、労働者は企業の経営者と同等の発言権を有する。労働者を力強く後押しするために、中國の各レベルの労働組合は「氷を割る勢い」で「賃金集団協議制度」を全面的に押し広めている。
「賃金集団協議制度」とは、従業員の代表と企業経営者が法律に基づき賃金の分配制度、分配形式、給與水準などについて平等な立場で協議し、労使雙方が共同で労働者の賃金を決定する制度。正常な賃上げ體制と賃金支払保障體制の重要な一部である。
中華全國総工會の統計によると、09年末までに締結された賃金の集団契約は51萬2000件、企業90萬2000社、従業員6177萬6000人に及ぶ。集団協議制度の実行が難しいのは、規模が小さく、管理が困難な非公有制企業だという。同會はこのほど、各レベルの労働組合に対し、2012年までに労働組合がある企業は賃金集団協議制度を実行し、賃金の集団協議を全面的かつ著実に推進するよう求めた。
いま、中國では、沿海部から內陸部まで全土にわたり賃金の集団協議がかつてないほど注目を集めている。今年1月、10年以上中斷されていた湖南省総工會と政府間の連絡會議が開かれた。湖南省総工會の李摯副主席によると、今年は賃金集団協議制度を堅固に確立する年にするという。「今年の我々の任務は、労組の設立を大いに推進することだ。すべての國有企業と60%の非公有制企業で賃金集団協議制度が実行されるようにする」と話す。