最近、報道でしばしば中國の高度発展の過程で現れた所謂「低賃金時代」は終わろうとしているとの論評を見かける。では中國はまさしく既に低賃金の狀況を終える最終段階に來ているのだろうか。
ホンダでの労使紛爭
中國に低い賃金水準をもたらしている要因は多くある。筆者は主なものは以下の3つの要因であると考えている。
先ず労働市場である。當初の「第十一次五カ年計畫」の計畫「綱領」の予測計算では本年に至るまでにわが國の労働者人口の総數は8.3億人に達し、都市部の新たな増加労働力の供給は5000萬人となり、需給狀況から見ると新たな就職口の數は4000萬のみであり、これは労働力の供給と需要が1000萬前後合わない事になる。ここから労働力の供給過多の問題が依然として存在する事と、更に疑いもなく賃金上昇への大きな圧力となり、新たな不確定性となっている事が見て取れる。労働者が現行の賃金レベルを心ならずも受け入れざるを得ないのは、労働力供給の過多という全般的な狀況下での、一種のどうしようもない選択なのである。
第二は中國の賃金構造體系の不完全さである。現在のところ中國の賃金受給者は大まかにみて次の三つのグループから成る:第一は主として企業経営者から成り、一般に高額の年俸制である。次のグループは公務員及び行政関係者で、賃金は基本給と手當から成っており、手當の比率がかなり高い。あとの一グループは絶対多數を占める普通の労働者で、彼らの賃金は基本給であり手當の占める割合は小さい。このような賃金構造は収入の格差の大きな要因となっており、國家が賃金収入の格差を調整しようとするときの盲點であり、やっかいな點となっている。
第三として中國経済の不均衡性も低賃金現象の重要な要因である。労働集約型産業を中國からなくする事は、ただある種の望むところの姿にすぎない。この國の現実の道はこれらの産業を相対的に発達している東部から、同じく相対的に遅れている西部地區に移転させていく、これがあるのみである。しかもこの種の移転は徐々に継続して行なわれるのであり、ただちに低賃金狀態に変化が起きるわけではない。
以上の中國の低賃金をもたらしている三大要因を分析して看て取れるのは、今の段階で中國の「低賃金時代の終了」を簡単に言うのは明らかに時期尚早という事である。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2010年7月19日