二、二〇一一年度中央と地方予算案
(一)當面のわが國の財政情勢
二〇一一年のわが國の発展を取り巻く情勢は依然としてきわめて複雑である。世界経済は引き続き緩やかに回復に向かうであろうが、その土臺は固まっていない。一方で、わが國の経済は好転基調に変わりはないものの、直面する矛盾や課題も少なくない。財政から見れば、収支の矛盾が依然として際立っている。歳入面において、経済の持続的で安定した、より速い発展によって財政の収入増の基盤が固められたが、二〇一〇年度の歳入実績ベースがかなり高い上、輸出入の急速な伸びを維持することが難しくなっており、自動車市場の景気の冷え込みなどに加え、さらに個人所得稅制の改正や、付加価値稅と営業稅の課稅範囲の調整、一部の薄利タイプの小規模企業向け企業所得稅優遇策の継続実施など、これらはいずれもある程度の収入減をもたらす要因となろう。したがって二〇一一年度、歳入の伸び率は前年度よりいくらか低下することが予想される。歳出面において、建設中の公共投資プロジェクトを完成させ、農業や水利などのインフラ整備を強化するには、ある程度の投資規模を維持することが必要である。そして、経済構造の調整と発展パターンの転換を速め、教育や醫薬衛生、社會保障など重點分野の改革を推進するとともに、民生を確実に保障、改善し、インフレの圧力に対応し、さらに低所得者層に対する扶助に一段と取り組んでいくためにも、財政の投入をさらに増やす必要がある。それゆえ財政支出の圧力はかなり大きくなる。
(二)財政予算編成と財政活動の全般的な要請
中央の取り決めた政策と活動計畫に基づき、現在直面している経済財政情勢を踏まえ、二〇一一年度の財政予算編成と財政活動の指導思想を次のように定める。黨の第十七回大會と十七期五中総の主旨を全面的に貫き、鄧小平理論と「三つの代表」の重要な思想を指針として、科學的発展観を深く貫き、実施し、科學的発展のメーンテーマ及び経済発展パターン転換の加速化の主軸としっかり結びつけ、引き続き積極的な財政政策を実施し、稅財制の改革を深化させ、國民所得分配の枠組調整を推進し、財政の支出構造を最適化させる。また「三農」や教育、醫療衛生、社會保障と雇用、保障タイプの安住プロジェクト、省エネ?環境保護及び未発達地區への支援を強化し、民生を確実に保障、改善し、経済の成長、構造の調整、地域間のバランスの取れた発展と都市?農村の一體化した発展を推進する。さらに、法律に基づいて財政を運営し、統一した計畫の下で各方面に配慮を加え、収入増加?支出節減を図るという方針を堅持して、財政の科學的な管理を強化し、一般的支出をきびしく抑制し、財政資金運用の効率と効果を向上させ、経済の安定したより速い発展と社會の調和?安定を促す。