クリントン米國務長官は先日のASEAN地域フォーラム外相會議で「南中國海島嶼の領有権をめぐる係爭は米國の國益に関係する」と発言した。外國勢力が南中國海問題への介入に「興味」を抱いていることを示す発言だ。南中國海の周辺國は、その背後の意図やもたらし得る影響について警戒すべきだ。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
クリントン長官は「米國は航行の自由、アジアの公海の開放、南中國海における國際法の遵守において國益を有す」と述べた。さらに多國間協議を推進する必要性を指摘し、南中國海問題における武力の使用や威嚇への反対を強調。係爭各國に國連海洋法條約を始めとする國際法の遵守まで求めた。
米國が國連海洋法條約の遵守を各國に求めるとは実に皮肉な話だ。周知のように、1982年の條約誕生以來、米國は海軍や情報機関の「行動の自由」を維持するため、他國の排他的経済水域(EEZ)への管轄権を否定してきた。一貫して條約にも加盟せず、ここ數年になって、ようやく少しその姿勢を示しただけだ。なぜこの「法外の國」が、南中國海の係爭各國に「法律を守れ」と要求するのか?これは熟考に値する疑問だ。
2002年に中國とASEAN各國が國連海洋法條約にのっとり「南中國海における各國の行動宣言」に調印して以來、南中國海情勢は安定を保ち、平和的な航行の自由が脅かされる事態はこれまで発生していない。米側がいわゆる「武力の使用または武力による威嚇」を持ち出し、それに的外れな「反対」を表明したことで、その意図に疑いの目が向けられている。
國家間に領土または領海をめぐる係爭が生じた時、外國勢力、特に歐米列強の介入が當事國に悲劇をもたらすだけであることは歴史が証明している。歐米列強はしばしば他國を挑発して不和や紛爭に陥らせ、地域緊張の種を埋めた上で、「仲裁者」「バランサー」の肩書きで介入し、係爭各國を「分割統治」することで、自國の利益の最大化を図ってきた。