8月9日、南中國海を航行する米空母「ジョージ?ワシントン」
南中國海情勢は今年再び緊張した。これは米國の仰々しい介入と密接に関係する。これまで歴代米政権は南中國海問題に対して中立を保ってきた。09年6月の時點でもゲーツ米國防長官はマニラ訪問で「米國の現行政策は南中國海の領土係爭への不介入だ」とメディアに語った。ではなぜ現在のオバマ政権はこれまでの中立政策を変更し、仰々しい介入を始めたのだろうか。(雑誌「世界知識」)
■前々から企み、仰々しく介入
実は米國は南中國海問題の多國間化、國際化を前々から企んでいた。近年米國は外交の重心をイラクやアフガニスタンからアジア太平洋へと移そうと考え続けている。オバマ大統領は09年初めの就任後、東南アジアでの影響力を回復するため、ASEANとの接觸を強化し続けてきた。昨年はシンガポールでASEAN首脳との初の會談を行い、來年もインドネシアの首都ジャカルタで開かれる東アジアサミットへの出席を決定するといった具合だ。
米國が南中國海情勢に緊張をもたらす手法で內から外へと南中國海問題の國際化を図る目的は、南中國海問題の解決に中國の戦略資源をさらに多く振り分けさせることで、その臺頭を抑えこむことにある。
中國と領土?海洋権益係爭を抱える一部東南アジア諸國も、南中國海問題について中國と議論する際に強硬姿勢がとりやすくなるよう、米國が代弁してくれることを確かに期待している。
ASEAN諸國は現在、南中國海問題における立場と利益を強化するため、「南中國海行動規範」の制定に向けて準備している。ASEAN諸國は02年制定の「南中國海における各國の行動宣言」は係爭解決の文書ではあるが、拘束力も法的効力もないと考え、法的作用を備えた新たな合意の制定を望んでいる。フィリピンのアキノ大統領は今年6月の就任早々「ASEAN諸國は法的拘束力のある新たな南中國海行動規範を定めるべきだ」と表明した。米國はこれを非常に喜び、南中國海問題に関する國際會議を自ら主催し、南中國海における航行の安全を確保する意向を表明した。アキノ大統領は9月の訪米時、初対面の贈り物としてこの問題をオバマ大統領にプレゼントした。10月4日、米國のトーマス駐フィリピン大使は「南中國海におけるASEAN加盟國と中國との領土係爭を解決するため、法的拘束力のある地域行動規範の制定に助力したい」と公然と表明した。
■プラグマティズム外交