「粵港澳大灣區発展計畫綱要」(以下「計畫綱要」)が18日公布された。計畫綱要に基づき、現在経済規模10兆元以上の「粵港澳大灣區」(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、澳門<マカオ>両特別行政區によって構成される都市クラスター)は世界の新興産業、先進的製造業、現代サービス業の拠點となり、最終的には香港?澳門と広州?深センなど珠江デルタ都市からなる世界一流のベイエリア、世界レベルの広域都市圏となる。新華社が伝えた。
青寫真が完成し、帆を揚げて出航――広東省?香港?澳門の3地域の専門家や學者、市場関係者から見ると、計畫綱要の公布は粵港澳大灣區建設と中國経済発展の両プロセスにおいて一里塚的意義を持つ。「一國二制度」の制度ボーナスを増大させることで、香港?澳門と珠江デルタ地域で構成される活力に満ちた「9+2」広域都市圏は、世界的影響力を持つ國際科學技術革新センターにもなる。
「計畫綱要は3地域間の人?物?資金?情報の流れにおける障害を解消するために一連の制度を定めた。これは制度面の摩擦によって生じるコストを引き下げ、『一國二制度』のボーナスを還元する狙いがある」と、粵港澳大灣區研究院事務局長、広東省社會科學院國際経済研究所副所長の鄧江年氏は指摘する。
中國國際経済交流センター産業計畫部部長の王福強氏は「計畫綱要は粵港澳大灣區のグランドデザインであり、今後の建設指針でもある。世界レベルの経済プラットフォームである粵港澳大灣區は質の高い経済発展を先導する新たなプラットフォーム、現代化経済システム構築の試行地區、全面的開放という新たな構造の形成を推進する先行地となる」と指摘。「近年、広東省?香港?澳門の協力は深まり、著実化し続けている。粵港澳大灣區は経済力、地域競爭力が著しく高まり、世界一流のベイエリア及び世界レベルの広域都市圏となるための基礎的條件をすでに備えている」とする。
市場も気配を察知して、いち早く動いている。國內外の多くのコンサルティング會社の公表した報告は「科學技術革新において広東省?香港?澳門の3地域の力の融合を促すのが計畫綱要の最重要ポイント」との見方で一致している。特に計畫綱要の打ち出した「広州―深セン―香港―澳門」科學技術革新回廊は、香港?澳門と広東省さらには大陸部の科學技術研究力を融合させ、大灣區を「世界の科學技術革新の要衝及び新興産業の重要な創出地」へと変える後押しとなることが期待されている。
これについて、香港特別行政區政府「政治制度及び內地事務局」の聶徳権局長は「香港は質の高い高等教育資源と広範な國際的結びつきがあるうえ、香港と大灣區の國際的科學技術革新センター化を國の科學研究予算で支援する中央の政策もあり、科學革新産業発展のチャンスを迎えようとしている」と指摘。
現代産業システム構築の面では、計畫綱要は従來型産業の改造と高度化、先進的製造業と現代サービス業の発展加速を支持するとしている。新興産業分野では、香港?澳門?広州?深センなど中心都市の科學研究資源の優位性とハイテク産業の基礎を拠り所に、産業チェーンが整い、波及?先導効果が高く、國際的競爭力を備える戦略的新興産業クラスターを共同で築き、経済発展の新たな原動力を強化するよう指示している。
サービス業の面では、計畫綱要は▽國際金融センターとしての香港の地位を揺るぎないものにし、さらに高め、「一帯一路」建設に貢獻する投融資プラットフォームを築く▽澳門が中國―ポルトガル語諸國金融サービスプラットフォームとなることを支持し、澳門―珠海クロスボーダー金融協力モデル地區の構築を研究?模索する――としている。
澳門特別行政區政府報道官弁公室も18日「計畫綱要の実行を推進する過程において、澳門は長所を発揮し、他の都市の強みと相互補完し、協力?ウィンウィン、協調的発展を図り、澳門経済の適度な多元的発展にさらに良好な環境を創造する」とした。
計畫綱要が「粵港澳大灣區の発展は過剰生産、供給と需要の不均衡など際立った矛盾と問題、市場の相互接続水準の一層の向上が必要であることを含む制度的問題など、多くの試練に直面している」とも明確に指摘していることは注目される。また、地域の発展が直面するボトルネック的制約、資源?エネルギーの逼迫、環境圧力の増大、人口ボーナスの下降といった試練も軽視できない。
これについて、絲路智谷研究院(China Silk Road iValley Research Institute)の梁海明院長は「グランドデザインである計畫綱要は、大灣區建設の大きな方向性と目標を明確にした。だが執行レベルでは、より具體的な執行措置が必要であり、建設に関する具體的な政策措置は、各部?委員會と広東省?香港?澳門の3地域の政府が今後段階的に打ち出す必要があるだろう」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年2月20日