◆リスクの直視
清華大學國情研究センターの胡鞍鋼主任は、「ラテンアメリカ等の“罠”にはまった國家と異なり、中國は政治?金融が安定し、國際的地位も高まりつつある。またリーマンショックに対する経済対応からも、中國が外部環境からの圧力に耐える能力を持つことが明らかだ。中國は豊富な労働人口を有し、十分な資本を確保し、発展の過程で柔軟な対応をすることもできる。経済制度に改善の余地があり、都市化により新たな労働力が発掘される可能性がある。工業化中期の後発優位性も依然として完全に発揮されていない。発展のバランスが取れていないものの、広大な國土面積を持ち、市場に潛在力が殘されている発展中の大國として、中國は持続的成長に向けた基礎と條件を備えている」と分析した。
國務院発達研究センターの劉世錦副主任は「中國の成長モードから見れば、重大なミスを起こさない限り、ラテンアメリカや東歐の一部のように『中所得の罠』にはまることはない」と指摘した。しかし中國の経済成長が「自然に下押し」となり、新たな成長期を迎える過程において、特殊な問題が生じる可能性はある。
「罠」を越えることも、容易なことではない。世界的に見て、中所得期はモデルチェンジの重要期間である。同期間中、経済的?社會的構造に重大な変化が生じ、利益構造が大幅調整される。イノベーションによる経済成長を目指し、利益追求による社會発展から、公平性の追求による社會発展を目指す。グローバル競爭に打ち勝ち、「中所得の罠」を越えて高収入國となった國家は、過去數十年間で、日本、韓國、シンガポールと數えるほどしかない。これらの國家と比較して、13億人以上の人口を抱える中國は、中収入國から高収入國となるその過程において、數多くの課題に直面するだろう。