中國社會科學院が8日公表した経済情勢分析リポート「経済藍皮書(経済青書)」には、2011年における中國経済の情勢や主な問題點が分析されているほか、2010~2011年國民経済主要指標の予測、また2012年経済藍皮書「2012年中國経済情勢の分析および予測」が発表されている。「藍皮書」によると、世界金融危機後に生じた景気低迷の狀況は2011年以降も長期にわたって持続するだろう。中國の貿易関連事業は將來見通しが悪くなるはずであり、中國の経済成長における輸出依存度も大きく低下すると思われる。輸出依存型の中國経済が今後大きく転換し、內需を主體にした経済成長モデルに移行するのかもしれない。
「藍皮書」によると、2008年、米サブプライムローン問題に端を発した金融危機は、世界的な経済危機であり、その爪痕の深さは、1930年代の世界恐慌や1970年代のオイルショックの再來かと言われるほどである。この度の経済危機からの回復には恐らく10年以上かかるだろうと見なされている。
「藍皮書」によると、そうした予測の根拠に、先進諸國が長期にわたって構築してきた経済成長モデルや経済構造、金融構造、財政構造などがいずれも著しい歪みを生じていた事を、この度の世界経済危機が示していることにある。
一つ目に、この度の危機は世界的な経済成長モデルの危機である。中國などの新興諸國に低消費、高貯蓄、過剰投資、輸出過多といった問題が存在するように、米國などの先進諸國の成長モデルにも著しい歪みが存在している。過剰な消費支出、低い貯蓄率、そして投資の減退、貿易赤字といった問題が今後ずっと続けば、債務危機へとつながることは必至である。
二つ目に、この度の危機は世界経済構造のバランスが崩れたことによって起こった危機である。世界経済の中核として、先進諸國は長期にわたり、最先端の製造業や、金融業など付加価値の高いサービス業を成長させてきた。新興諸國は低コストの労働力に依存し、時代遅れな製造業に従事してきた。新興諸國が世界経済を牽引する存在となるにしたがい、先進諸國が世界経済を完全に掌握する成長モデルはすたれていった。
三つ目に、この度の危機は金融業の過剰成長による危機である。金融分野における問題が積み重なり、爆発した結果だと言える。この數十年、金融業を重視し過ぎた先進諸國の戦略は、世界を蝕む結果に終わった。
四つ目に、この度の危機は財政赤字危機である。
「藍皮書」によると、経済危機は上述した4つの問題が原因となっている。危機からの回復にはこうした問題を解決することが先決である。ただ、それらの問題を解決するのが非常に難しいこと、また、問題を解決しようとすれば景気回復を遅れさせることにつながる、という問題も浮上してくる。このため、この度の危機は今後も長く続くだろうし、今後、數々の弊害が現れるだろう。
「藍皮書」には、こうした情勢に対し、我々は以下のように先行きを予想し、その心構えをしておくべきだと指摘している:今後、相當長い間、中國経済は長期低迷する世界経済の中で運営していくことになる。また中國の貿易関連事業の成長は見込めないだろう。中國経済の成長における輸出依存度は今後大幅に低下するだろう。だが、輸出依存度が低下することは、中國に絶好の機會をもたらすことになるかもしれない。中國のGDPに占める経常収支黒字の割合は4%以下に下がるだろう。そうすれば、中國経済が長きにわたって輸出に依存してきた狀態を根本から変えることになるかもしれない。中國が內需型の経済成長モデルに移行するきっかけとなるはずである。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2011年12月8日