當然、中日関係の「第二次正常化」は根本的に両國政府の勇気、意志、知恵、そして釣魚島、戦爭賠償、元労働者への賠償、靖國神社參拝などの問題を含む包括的解決案を見いだせるかどうかにかかっている。このうち戦爭賠償については、41年前に中國側が請求権の放棄を宣言したものの、多くの中國人にとっては釈然としないわだかまりとなっている。実は日本側は長年にわたり「対中政府開発援助(ODA)」を通じて、形を変えて戦爭賠償を行なってきた。このうち3兆2000億円規模の円借款は30年の超長期、金利3%以下の優遇借款であり、中國側のある専門家は「インフラなどの要因を総合的に考慮すると、円借款は約57%が実質的贈與にあたる」と試算する。
このほか、1472億円規模の対中無償援助と1505億円規模の技術援助もある。こうした援助は1980年代、90年代に中國が受けた外國からの援助総額の半分近くを占め、中國経済のテイクオフに軽視できない役割を果たした。90年代初めに私は中日政府視察団に同行して日本の対中援助事業について半月間実地調査を行なったことがあり、大変感慨を抱いている。だが中國の民間人でこうした事を知っている人は、今にいたるもまれだ。そのうえデータにも食い違いがあり、戦爭賠償との関係も曖昧だ。